沖縄の綱引き
名称: | 沖縄の綱引き |
ふりがな: | おきなわのつなひき |
種別1: | 風俗習慣 |
保護団体名: | |
選択年月日: | 1994.12.13(平成6.12.13) |
都道府県(列記): | 沖縄県 |
市区町村(列記): | |
代表都道府県: | 沖縄県 |
備考: | 所在地が同一都道府県内のもの(このデータは種別1から移行しています) |
解説文: | 沖縄の綱引きは、ほとんどが集落単位で行われ、現行のところでも一〇〇か所以上を数えるといわれている。その時期は陰暦六月から八月に集中する。綱引きが最も集中するのは、六月十五日前後の「ウマチー綱」(稲粟の収穫祭)、同二十五日前後の「年浴綱【としあみづな】」(苗代始め、雨の祈願祭)、七月の「盆綱」、八月十~十五日前後の「十五夜綱」である。これらに加えて、旱魃【かんばつ】時の「雨乞い綱」が臨時に催されることもある。 綱の素材は、ほとんどが稲藁であるが、稲作のない宮古島のように山の蔓草【つるくさ】で作る例もある。形態的には、一本綱はほとんどみられず、頭部に輪を設けた雄綱および雌綱を別個に作り、輪を結合して貫棒【ぬきぼう】を差し込んで引き合う。綱は、胴体だけのものと子綱をたくさん付けたタコヅナとよばれるものがある。また、綱の移動には、綱の大きさにもよるが、下から棒を差し込んで両側から担ぐ方法、六尺棒の先に高々と支える方法、肩に担いでいて時々高く投げあげて気勢をあげる方法などさまざまである。見せ場づくりとして、歴史上の人物に扮装した数人の者を敷板の上や大綱の上に乗せて対峙する例などもある。 毎年一回の割りで綱引きを行っている所が多いが、なかには七年または一二年に一回の周期で行っている地域もある。また、一年に二回以上という地域もある。その目的は、娯楽に重きを置くことはいうまでもないが、年を占い、邪鬼【じやき】を祓う目的と雨乞いの要素ももつと考えられる。沖縄にも二本の綱を結合するのではなく、蛇にかたどった一本の綱を担いで村の中を回る例があり、南九州の担ぎ綱の影響を受けたものと考えられるものの、ほんの一部の事例に過ぎない。 沖縄の綱引きは、年中行事のなかでも最も村中がにぎわう。それは、村を二つに分けていろいろな分野で競争し合うからでもあろう。また年齢集団による仕事の分担もある。綱の材料集めはかつては少年組の役目であった。綱打ちは青壮年組、ウタキ(御嶽)への祈願は神女や村の役人が行う。また、一方では、毎晩歌舞や金鼓隊【きんこたい】の練習が続けられる。 綱引きの当日は、組を象徴する旗頭を先頭に銅鑼【どら】や鉦鼓【しようこ】、法螺【ほら】、太鼓が打ち鳴らされ、道を練り歩く。綱引きが行われる直前直後には、若者によるぶつかり合いや倒し合いがあり、綱引きの終了後は、相撲大会に移行する所もある。 現在では、昼の綱引きが多くなったが、古くは夜の綱引きのほうが多く、そのため旗頭の灯籠には蝋燭を灯していた。また、竹やすすきによる炬火【きよか】をあかあかと灯し、沖縄における火祭りの様相を呈した。さらに、終了後は、綱の一部を切り取って焼くか、川や海へ流す習俗がある。 |
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