気動車の付随車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 01:30 UTC 版)
気動車の場合、かつては電車と比較して動力車1両あたりの出力が小さかったことから、付随車を組み込むと編成全体でさらにパワーダウンとなってしまうため付随車自体の絶対数は少なく、新製車となると特に少なかった。 国鉄時代に製造された客車を気動車に改造した車両は比較的よく見られており、キサハ45形・キサハ34形・キサロ59形・キサハ144形といった形式が登場している。江若鉄道や北海道旅客鉄道(JR北海道)においては、客車を客車の種別のまま気動車列車に組み込んだ例がみられた。 その一方で、新製車両としては戦前の電気式気動車列車に組み込まれたキサハ43500形、1960年代のキサシ80形、大出力機関搭載気動車列車に組み込まれたキサロ90形、キサシ180形のみで、それ以降は長らく途絶えていた。 その後、1990年(平成2年)12月に、JR北海道がジョイフルトレインである「クリスタルエクスプレス トマム & サホロ」にキサロハ182形(キサロハ182-5101)を増備したが、これが気動車としてキサシ180形以来約20年ぶりの新製付随車となった。JR北海道は続いて1991年12月に「スーパーとかち」(晩年は「おおぞら」でも使用)にキサロハ182形(キサロハ182-551 - 554)を、1992年(平成4年)12月にはジョイフルトレイン「ノースレインボーエクスプレス」にもキサハ182形(キサハ182-5201)を、それぞれ増備し組み込んだ。なお、これらは全て2階建車両であり、特にキサロハ182-5101は気動車として日本初の2階建車両でもあった。ただ、「スーパーとかち」・「おおぞら」で使用されたキサロハ182形550番台は2001年(平成13年)6月末をもって運用から外され、その後は長らく保留車とされたが、結局は2013年(平成25年)12月20日付で4両全車が廃車されている。 以降、長らく旅客用の新製車両はなかったが、2015年(平成27年)にJR九州が、「ゆふいんの森」で使用しているキハ72系に増備した1両がキサハ72形(キサハ72-4)であり、キサハ182-5201以来23年ぶりの旅客用新製付随車が登場した。2016年(平成28年)には、JR西日本が団体専用列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」で使用する87系寝台気動車を新製し、うち2号車(キサイネ86-101)、3号車(キサイネ86-301)、4号車(キサイネ86-401)、7号車(キサイネ86-501)、8号車(キサイネ86-201)、9号車(キサイネ86-1)が付随車となっている。また、JR東日本も同じく2016年(平成28年)に団体専用列車「TRAIN SUITE 四季島」で使用するE001形を新製したが、こちらは動力方式として架線集電により駆動する電車の機能とディーゼル発電機により発電した電力で駆動するディーゼル・エレクトリック方式気動車の機能を併せ持つ新システム「EDC方式」を採用しており、電車と気動車の両方の性能を併せ持っている車両である(このうち、E001-4である4号車からE001-7である7号車までが付随車となっているが、付随車を表す「サ」の記号は付されていない)。 この他、営業用だが波動輸送のみ使用されている車両として、JR東日本のキサハ144形(キサハ144-701, 702。余剰となったキサハ144形をJR北海道から購入し、700番台に改番した上で「SL銀河」で使用中)、JR四国のキクハ32形(トロッコ列車用制御車)がある。また、事業用としては、JR東海のキサヤ94形(軌道検測用)といった特殊用途車がある。
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