民営化後の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 13:46 UTC 版)
「日本のディーゼル機関車史」の記事における「民営化後の現状」の解説
国鉄分割民営化後のディーゼル機関車は、非電化路線の牽引機としての運用のほか、貨物駅では貨車の入れ換えにも用いられているが、非電化路線の電化や廃止、貨物輸送の縮小、非電化路線での機関車牽引旅客列車の大幅減少などの要因が重なり、JR各社のディーゼル機関車は以前に比べ大幅に両数を減らしているのが実情である。 JR貨物は、発足後の1993年(平成5年)に、技術革新を受けて新しい機器を採用した電気式のDF200形を開発し、北海道内の高速貨物列車牽引で堅調な実績を上げている。本格的に量産された本線用ディーゼル機関車としては、2010年(平成22年)には既存のDE10形ディーゼル機関車の置き換え用にハイブリッド式の入換用機関車HD300形を試作、2012年から量産を開始した。 JR旅客鉄道6社では民営化直後に昼行旅客列車での定期運用が終了し、使用目的はわずかな臨時列車や工事列車にほぼ絞られることとなった。だが臨時列車用の客車(ジョイフルトレインや観光列車)は気動車への置き換えや使用列車の廃止などで激減しており、工事列車でも2010年代以降キヤ97系やGV-E197系のような気動車による後継車が登場している。また四国・九州を除く4社は除雪用のディーゼル機関車も継承しているが、やはりキヤ143形やキヤ291形といった気動車やモーターカーに置き換えられている。 このような事情から、JR北海道とJR東日本が既存車の改造で新形式を製作した以外は、旅客6社では新たなディーゼル機関車の増備を行っていなかった。ただしJR九州のみ、2013年に運行を開始した豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」の牽引機としてDF200形7000番台1両を導入している。 こうしたJR各社での動きとは無関係に、これまでDMF31系エンジン2基搭載でDD13形と同系の55t級D形ディーゼル機関車を新製してきた各地の臨海鉄道などでは、21世紀に入る頃からそのDMF31系エンジンの陳腐化が問題となってきた。それまでシリンダヘッドの設計変更による燃料噴射系の直噴化などによってアップデートや性能向上が図られてきたが、もはや基本設計の旧弊さを覆い隠せるものでは無くなったのである。この問題に対する解答となったのが、2001年に日本車輌製造で製造された京葉臨海鉄道KD60形であった。同形式では従来のDMF31系エンジンに代えて三菱重工業製の産業用汎用ディーゼルエンジンであるS6A3-TA形(560PS)が搭載されていた。これが好成績を収めたことから臨海鉄道協議会の標準機関としてこの系列のエンジンが採用されることとなり、以後日本の臨海鉄道各社ではKD60形を基本とするS6A3-TA搭載の60t~64t級D形機が新製されるようになっている。 2017年にはJR貨物が電気式のDD200形を導入して国鉄型車両の運用を置き換えているほか、衣浦臨海鉄道といった臨海鉄道やJR九州にも導入されている。
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