検察審査会問題
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告発内容を超えた起訴議決 2004年と2005年に関する告発内容は2004年の土地購入の不記載及び2005年の土地購入の架空記載であったが、東京第五検察審査会は1回目の議決では土地購入経緯のみ犯罪事実として認定し、2回目の議決で土地購入の経緯と借入金4億円の不記載を犯罪事実として認定した。 指定弁護士は借入金4億円の不記載を起訴内容に含めて起訴したが、小沢の弁護側は「借入金4億円の不記載は告発事実を超えた議決は違法」と主張している。 小沢は強制起訴手続きの差し止めの行政訴訟をし、検察官役となる指定弁護士を東京地裁が選任しないように仮差し止めや執行停止を申し立てた。しかし、検察官役となる指定弁護士を東京地裁が選任しないように仮差し止めや執行停止の申し立てについて、11月25日に最高裁は東京地裁の却下を支持し、「起訴議決の適否は刑事訴訟の手続きで判断されるべきもので、行政訴訟で争えない」との判断を示した。これを受けて、小沢は行政訴訟を取り下げた。 なお、過去に国会の証人喚問における議院証言法違反では検察が国会の告発にない被疑事実まで訴追されたロッキード事件の全日空社長は訴追について違法と主張したが、1992年9月18日に最高裁は合法とした判例がある。 東京地方裁判所は2012年4月26日の小沢への判決で2つの事件の同一性を認めて有効とした。 検察審査員 第五検察審査会は小沢一郎を起訴議決をしたが、発表された検察審査員の平均年齢や計算ミスによる訂正があった。 小沢一郎への刑事訴追に批判的な立場からは、小沢を起訴議決した東京第五検察審査会のメンバーについては1回目の審査員と2回目の審査員は同一メンバーが不正に再任された、もしくは検察審査会自体が開かれていなかったと主張されている。 なお会計検査院によると、強制起訴を議決した検察審査員11人について会議録の氏名を選定時の書類と照合するなどして実在を確認し、2度訂正された平均年齢については選定時の書類の生年月日による平均年齢と一致することを確認している。 審査補助員 審査補助員は検察審査会で審査を行うに当たって法律に関する専門的な知見を補うが、自主的な判断を妨げるような言動をしてはならないと規定されている。 小沢一郎を起訴相当議決をした東京第五検察審査会で審査補助員を務めた吉田繁実弁護士が暴力団取締りに際して共謀や共犯が広く認められた判例を取り上げた状況が紹介されている。 田代政弘らを不起訴相当とした東京第一検察審査会では、審査補助員に元検察高官であった澤新(さわ・あらた)弁護士が就任していたことが判明し、批判の対象となった。東京弁護士会は7月8日にこの補助弁護士の選任手続きが東京弁護士会会長と副会長のみの判断で行われたことを回答した。 訴追対象者の弁明 検察審査会制度では「判断する人に、被疑者に弁明の機会もなく、直接言い分を聞いてもらえない状態で起訴相当になってしまう」という批判がある。 一方で2回目の審査をした検察審査会に対し、申し立て対象であった小沢が弁護士を通じて、事件への関与を否定する上申書を提出し、上申書は検察審査会長に扱いが一任されている。 訴追対象者の言い分を聞こうとする配慮や努力が規定されていないことは検察審査会制度の問題点ではあるが、今回の小沢一郎の審理に関しては、上申書が提出されているため「検察審査会が訴追対象者の言い分を全く聞かずに起訴議決をした」というのは正確ではない。
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