枯山水の要素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 03:46 UTC 版)
砂と箒目 枯山水では砂敷は水面を表現することが多い。砂敷が広い場合は海や池であり、石や植栽により水流があるように見せる場合は枯流れという。枯山水に用いられる砂は、白ないしそれに近い色調を用いる事が多い。京都の枯山水では花崗岩が風化した砂で、白川から産出されるものを用いていたが、現在は採取が禁止されており、白い花崗岩を砕いて用いている。粒の大きさは一般に3分(約10mm)程度で、一般的には砂利と称されるほどの大きさであるが、古い庭師言葉では3cmほどの小石を撒くことも砂を撒くと表現する。また、慈照寺の向月台のような盛砂にはより細粒な砂を用いる。 敷砂には箒目と呼ばれる文様をつける事も多い。箒目は箒のほか、熊手、レーキなどの器具を用いてつけられる。代表的な箒目には以下のものがある。 漣(さざなみ) - 平穏な水面を象徴する文様で、線の大小によって水面の大きさを表現する。 うねり - 平穏な水面を表現するが漣と比べてやや躍動的。 片男波(かたおなみ) - 円弧を連続したもので、うねりの便化といえる。 網代波(あじろなみ) - 折れ線を連続したもので、片男波をさらに便化したもの。 青海波(せいがいは)- 片男波の変形で、力強さと温柔さを兼ね備える。 観世水(かんぜみず) - 漣と渦紋を組み合わせたもので、流水における変化を表現する。 渦紋(うずもん) - 水面の変化を表現する文様。 渦巻紋(うずまきもん) - 渦紋の便化といえる。 獅子紋(ししもん) - 旋紋ともいう。渦紋の変形といえる。 石 日本の庭園は歴史的に石に対する関心が極めて強いとされる。枯山水で用いる石の多くは自然石で、山岳や渓谷などの自然、宝船・鶴・亀などの縁起物などを抽象的に表現する。以下に石組の例を記すが、日本庭園に共通のものもある。 三尊石組 - 大きな中心石の両脇に小さな脇侍石を2つ組み合わせた石組。名称は仏像の三尊像に因むが、明確に仏を象徴するものではなく、安定した石組表現とされる。圓徳院など。 七五三石組 - 奇数の石組はバランスの良さや、祝儀の数とされたことから重用された。龍安寺庭園・大徳寺真珠庵庭園・妙心寺東海庵庭園など。 蓬莱石組 - 道教の伝説の霊山を表現した石組。近寄りがたさを表現する鋭い形の石を立てて、周囲に石を配して蓬莱島を見立てる。東福寺方丈庭園など。 須弥山石組 - 仏教において世界の中心にある山。中心に独立峰を示す石をたて、その周りに8つの石を配しそれを囲む海を表現する。萬福寺庭園など 舟石 - 理想郷に向かう舟を表現する石。大仙院庭園・蓮華寺庭園など。 枯滝石組 - 深山幽谷の表現や登竜門伝説になぞらえたものなど。西芳寺庭園・大仙院庭園・酬恩庵など。 橋石組 - 山奥の表現を出すために滝の手前に設置される。また三橋(3本連なる橋)も多い。大仙院など。 遠山石 - 遠景を表すために据える石。築山や滝組石の上に据えられる事が多く、主石の背景として配置される。萬福寺庭園など。 亀島 - 蓬莱信仰と不老不死の象徴を表現。甲羅の亀甲石の両脇に亀脚石を配し、前後に亀頭石と亀尾石が伸びる。背に須弥山を載せることを象徴して石を載せたりビャクシンを植えることがある。金地院庭園・芬陀院庭園など。 鶴島 - 神仙島を表現する。長い石を寝かせて鶴首石とし、羽石を配する。背には松を植えることもある。金地院庭園・西本願寺庭園・大仙院庭園・芬陀院庭園など。 三尊石組(圓徳院) 中央上部 七五三石組のうち五石(龍安寺) 蓬莱石組(東福寺) 舟石(大仙院) 石橋とその奥の枯滝石組(本法寺) 鶴島(左)と亀島(右)(芬陀院)
※この「枯山水の要素」の解説は、「枯山水」の解説の一部です。
「枯山水の要素」を含む「枯山水」の記事については、「枯山水」の概要を参照ください。
- 枯山水の要素のページへのリンク