朝比奈泰彦とは? わかりやすく解説

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あさひな‐やすひこ【朝比奈泰彦】

読み方:あさひなやすひこ

[1881〜1975薬学者東京生まれ欧州留学地衣類成分など、植物化学生薬学分野独創的な研究業績をあげた。文化勲章受章。著「地衣類」など。


朝比奈泰彦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/11 03:30 UTC 版)

朝比奈 泰彦(あさひな やすひこ、1881年明治14年〉4月16日 - 1975年昭和50年〉6月30日)は、日本薬学者薬化学者東京大学名誉教授。薬学博士[1]帝国学士院会員、文化勲章受章者。

略歴

東京市本所区(現・東京都墨田区)生まれ。東京府士族・朝比奈和四郎の長男[1]旧制府立一中旧制第一高校を経て、東京帝国大学医科大学薬学科卒業。大学院に入り助手となる[1]

1909年、ヨーロッパに渡り、リヒャルト・ヴィルシュテッターエミール・フィッシャーに師事する。1910年、薬学博士の学位取得[1][2]1912年、東京帝国大学助教授[3]1918年、教授。

1923年、「漢薬成分の化学的研究」で帝国学士院恩賜賞1943年、文化勲章受章。1951年文化功労者。墓所は青山霊園

人物

1912年、下山順一郎教授の後任で講座担当となった朝比奈は、1941年に停年退官するまでの約30年間にわたりサクラニン、ナリンギンなどのフラバノンの研究を始めとする各種和漢薬成分の化学的研究を展開した[4]

1933年牧野富太郎によって創刊された『植物研究雑誌』の編集主幹を引き継ぎ、戦中・戦後を通じ1975年の没年まで続けた[5]1951年には、牧野富太郎が自宅に保管していた標本約50万点を整理する「牧野博士標本保存委員会」を組織、国庫補助金を得て整理を行った[6]

1948年(昭和23年)、宮内庁より正倉院宝物における薬物調査を委嘱され、1953年(昭和28年)に終了。同年10月、昭和天皇に正倉院の薬物について進講した。調査の成果は、後に『正倉院薬物』として出版された[7]

生前、1951年1952年ノーベル化学賞の候補に挙がっていたものの、受賞を逸している[8]

東京で生まれ育ったが、父が旧出羽上山藩藩士だったことから本籍山形県にあった。この縁で晩年に上山市名誉市民への推薦があったものの固辞している[9]

栄典

家族・親族

朝比奈家

著書

  • 日本隠花植物図鑑 三省堂, 1939
  • 私乃たどった道 南江堂, 1949
  • 日本之地衣 第1冊(ハナゴケ属、1950年、廣川書店)、第2冊(ウメノキゴケ属、1952年、資源科学研究所)、第3冊(サツオガセ属、1956年、資源科学研究所)
  • 正倉院薬物 植物文献刊行会, 1955

共著編

翻訳

論文


脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 『人事興信録 第7版』あ101頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2015年12月25日閲覧。
  2. ^ 朝比奈泰彦氏履歴.
  3. ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 28頁。
  4. ^ 天然物化学教室のあゆみ東京大学大学院薬学系研究科 天然物化学教室。2015年12月25日閲覧。
  5. ^ 植物研究雑誌について”. 植物研究雑誌編集委員会. 2024年8月19日閲覧。
  6. ^ 「牧野標本に補助金」『朝日新聞』昭和26年1月20日
  7. ^ 宮内庁『昭和天皇実録第11』東京書籍、2017年3月30日、595頁。 ISBN 978-4-487-74411-4 
  8. ^ 東京新聞:朝永氏、受賞前に7回「候補」 ノーベル賞選考資料:国際 Archived 2014年8月19日, at the Wayback Machine. 東京新聞、2014年8月14日夕刊
  9. ^ 山形新聞2025年5月11日
  10. ^ 『官報』第2480号「叙任及辞令」1935年4月12日。
  11. ^ 朝比奈 正二郎とはコトバンク。2015年12月25日閲覧。

参考文献

  • 人事興信所編『人事興信録 第7版』人事興信所、1925年。
  • 「朝比奈泰彦氏履歴」『ファルマシア』第11巻第10号、日本薬学会、1975年10月、759頁、doi:10.14894/faruawpsj.11.10_759ISSN 0014-8601 



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