服装の乱れに至る生徒の心理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 05:04 UTC 版)
「服装の乱れ」の記事における「服装の乱れに至る生徒の心理」の解説
生徒の心理の中では、下記のようなさまざまの理由が複合して服装の乱れに結果する。単なるファッションの一形態が「服装の乱れ」になってしまう無意識的なものと、明確に反抗などの意思表示として意識的に行うものがある。ただし、これには明確な境界線はなく、要因もまた複合的である。 自身の心理的葛藤や個人的事情 制服自体の構造やサイズが窮屈で規則どおりに着用すると苦痛があるので、ホックやボタンを常に外して着用したりサイズの大きな服装をして、物理的苦痛の強制を拒否する。 思春期の入り口で子供っぽい服装を拒み、大人びた服装をしたいという心理。 学年章、名札等や制服そのものによって露出を強制されている個人のアイデンティティや個人情報を一般の外部者に隠す。 学校や教師、(または親や社会一般)に対しての意思表現 学校や教師に正面から反発できない代償行為。 生徒の自己顕示欲。成績など何らかの心理的なコンプレックスを感じている場合、服装を乱すことといった他の面での価値優位性を自覚することによって学校の権威に対するカタルシスを感じる。 かつての学校の規範が紛争などで否定されたあと、生徒が事実上勝ち取った自主性を、かつての規範に縛られない着用方法をあえてとることにより表現する。 友人や同級生など同輩に対しての意思表現 学校の規範に属しているのではなく、親密な友人同士のような集団に帰属していることを、服装におけるサブカルチャーの実践によって表現する。一般的に、逸脱を共にする「共犯」性は当該集団の集団意識を強固にする。 同級生や下級生などへの威勢の誇示。「怖い」「強い」などのイメージを演出する。 不良集団に加わるとき、その一員になったことを、詰襟を高くする、スカートを長くするなど特定のやりかたに制服を改造して着用することで表現する。 周囲の同調圧力に迎合する。転校生がその学校の多くの者がやっている「服装の乱れ」を真似することによって、同輩に対して仲間意識を持つなどの意味もある。圧倒的にブームになったルーズソックスなど、むしろそうでないほうが珍しいような時期においては、いっそう同調圧力が強くなる。 以上とは多少異なった意味をもつものもある。性同一性障害やトランスジェンダーの傾向を持つものは、学校の制服に強い拒絶感を抱くものが多く、不登校などの原因となっている。これは、自身の生物学的性別を誇張することを強制されることに対して心の安寧を脅かされるからである。金八先生第6シリーズでは、性同一性障害のある鶴本直が肌の露出を嫌がりスカートを長くする様子が描かれた。このような視点から、ジェンダー論や人権の観点で論じられることもある。
※この「服装の乱れに至る生徒の心理」の解説は、「服装の乱れ」の解説の一部です。
「服装の乱れに至る生徒の心理」を含む「服装の乱れ」の記事については、「服装の乱れ」の概要を参照ください。
- 服装の乱れに至る生徒の心理のページへのリンク