有明海・八代海特別措置法
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「諫早湾干拓事業」の記事における「有明海・八代海特別措置法」の解説
国は、長崎、佐賀、福岡、熊本の4県の海域での漁業復興のために「有明海・八代海特別措置法」(平成十四年法律第百二十号)を定めている。内容は以下の5項目で、2018年および2019年の農水省担当分だけで年間18億円が投入されている。 下水道、浄化槽その他排水処理施設の整備に関する事業 - 地方公共団体に補助を行い、下水道、浄化槽その他排水処理施設の整備を推進している。対象となった地域の汚水処理普及率は、平成14年度末時点の56パーセントから、平成18年度末現在で67パーセントまで改善した。 海域の環境の保全及び改善に関する事業 - 平成16年度から、有明海と八代海の2900平方キロメートルの海域で、環境整備船を運航して2006年度(平成18年度)までに浮遊ゴミ約300トンを回収した。 河川、海岸、港湾、漁港及び森林の整備に関する事業 - 菊池川河口部にて平成18年度より砂浜の復元作業を実施し、同年度内に0.4ヘクタールの整備を終えている。また有明海の海岸10地区で海岸の整備事業を実施している。熊本港では、昭和62年度から環境配慮型防波堤が設置された。有明海沿岸の51の地区では、水産物供給基盤整備事業等によって、漁港の整備を実施する地方公共団体に補助が行われた。また森林整備においても地方公共団体等に森林整備事業の補助が行われ、平成15年度から平成18年度までに指定地域で約3万6000ヘクタールの間伐等が実施され、事業費で約681億円が使用された。 漁場の保全及び整備に関する事業 - 漁場環境保全創造事業として、漁場の保全・整備を実施する地方公共団体等に補助が行われ、2003年度(平成15年度)から平成18年度までの期間に有明海で覆砂442ヘクタール、作れい14.5キロメートル、海底耕運5477ヘクタールが実施された。 漁業関連施設の整備に関する事業 - 漁業関連施設の整備のため、地方公共団体等に交付金が支給されている。2003年度(平成15年度)から2006年度(平成18年度)までに13件、事業費で約59億円が費やされた。 漁業関係者の中には、農林水産省が漁場改善事業として実施している海域の浚渫や覆砂では、海底を耕す浚渫ではヘドロが舞い上がって拡散され逆効果であるという意見や、覆砂を行ってもアサリの生育は一時的に改善するだけで、2年から3年で再びヘドロに覆われてしまうといった改善事業の効果を疑問視する声もあるが、国側は福岡県や熊本県ではアサリの漁獲量が増加するなどの効果が見られていると反論している。潮受け堤防外側の諫早湾で着工した攪拌・導流施設についても、ヘドロが海中に舞ってアサリが埋まってしまうと懸念する漁民が、工事の妨害を目的に予定海域の海底に漁網を置き、工事が事実上中断する事態が起きている。 佐賀県鹿島市沖の有明海で二枚貝「アゲマキ」の生息数が回復し、アゲマキ漁が1996年以来22年ぶりに再開された。稚貝の育成・放流事業が効果を表したのだと言われた。タイラギについても他海域からの移植や、稚貝の放流、環境改善などの努力がされている。佐賀県だけで平成30年度までに4万個の母貝を移植した。平成30年度以降は沖合3か所・干潟2か所に母貝団地を造成して母貝や稚貝を移植したが、生残率が低く回復の兆しは見えていない。
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