有料急行列車専用車両
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 15:06 UTC 版)
有料急行列車専用車両の場合、国鉄・JRにおける急行形車両と同等もしくは特急形車両に近い装備を持っている車両がほとんどである。 <秩父鉄道> 電車急行「秩父路」には、専用の急行用車両として西武新101系(通勤形車両)を改造した6000系が使用されている。かつて使用されていた3000系は、もともと東日本旅客鉄道(JR東日本)が保有していたこのタイプの電車である165系を改修・改造したものである。それ以前は自社発注車である300系が使用されていた。このほかにもSL急行「パレオエクスプレス」用にJR東日本から購入し、改装した12系が使われている。 <東武鉄道> 有料急行列車を2006年3月まで運行していた同社の場合、ほぼ特急形車両に近い内装・性能を有する300系・350系(いずれも後述の1800系からの改造)が相当とされていた。しかし、2006年3月のダイヤ改正に伴う種別変更により列車種別上特別急行列車に一元化されたことを受けて、名目上専用車両を用いる急行列車は消滅した。 ただし列車種別上であって、実際の運用では300・350系電車を使用する列車に従来よりの特急用車両である100系「スペーシア」や伊勢崎線系統特急「りょうもう」に充当する200・250系の運用には使用されない。これは、もともと急行用車両として製造された本系列と他系列との間においては、シートピッチや座席のリクライニング機構の有無といった車内設備の格差が存在することと、最高運転速度が他系列よりも低いため、本系列を使用する特急列車においては従前の急行料金と同等の料金(現行の午後割・夜割特急料金)が全ての時間帯において適用される、といった差異が設けられている。 なお、「りょうもう」に充当する200・250系はもともとは急行列車であったため、こちらも登場時は急行用であったが、特急格上げによって事実上の特急用となっている。それ以前は1800系が使用されていた。 <大井川鐵道> 急行「かわね路号」用のナロ80形・スイテ82形は、同列車で運用するために元西武鉄道501系電車(サハ1501形)を改造したものである。 今までこれらは国鉄から譲渡された旧型客車と混結して運用されていたが、国鉄旧型客車の老朽化が著しいため、2018年に国鉄急行形車両である12系客車をJR西日本から譲受したが、現在のところ運用は始まっていない。この他、国鉄特急形の14系客車を2016年にJR北海道から譲受しているが、こちらも同様である。 これら大井川鐵道の保有する客車群は、蒸気機関車による牽引の他、多客期には電気機関車牽引による急行列車運用も行われている。 <第三セクター鉄道> 秋田内陸縦貫鉄道が急行「もりよし」用にAN-8900形を保有しているが、2012年3月のダイヤ改正以降は一般車両であるAN-8800形が充当されている。かつてはのと鉄道でも急行「のと恋路号」用に同様の車両としてNT800形を保有していた。 いすみ鉄道では、土休日に「観光急行列車」として、元JR西日本のキハ52形およびキハ28形を併結して運行している。 えちごトキめき鉄道では、定期急行列車や観光列車として、元JR西日本の413系および455系(クハ455-701)を併結して運行している。 <過去の国鉄・JR乗り入れ列車> 小田急電鉄・富士急行・南海電気鉄道・島原鉄道が、国鉄への直通準急・急行列車向けに準急形・急行形気動車を保有したことがある。小田急が独自設計であったほかは国鉄の準急・急行形車両に準じて製作されたが、国鉄の車両には存在しない両運転台車も製作された。直通列車廃止後はほとんどが他社に譲渡されて地域輸送に使用されたが、島原鉄道のものは直通列車廃止後も自社線内の地域輸送で使用され、2000年まで使用された。 名古屋鉄道が保有していた高山本線直通列車用のキハ8000系は、もともとは準急「たかやま」で使用されたため準急形であったが、特急形に近い接客設備を持つことから1975年に特急「北アルプス」への格上げと同時に実質特急形とされ、1991年にキハ8500系に置き換えられるまで使用された。 秩父鉄道6000系 東武1800系 秋田内陸縦貫鉄道AN-8900形 富士急行キハ58003(写真は有田鉄道時代のキハ58003)
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