書陵部蔵本とは? わかりやすく解説

書陵部蔵本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/23 03:10 UTC 版)

三条西家本」の記事における「書陵部蔵本」の解説

写本は全54帖が揃っている写本であり、実隆ほか複数の手による写本である。山岸徳平校訂による(旧)岩波日本古典文学大系源氏物語」(1958年昭和33年) - 1963年昭和38年))の底本になった。 本写本は、 「桐壺巻末に、「此物語五十四帖以青表紙証本令書校合 銘是当代宸翰也 殊可謂珍奇秘蔵々々 権大納言実隆」 「夢浮橋巻末に、「此物語青表紙証本全部功者亜槐拾遺小臣」 という実隆の自署奥書があり、加えて花押記されている。他の巻々については特に奥書はなく末尾に実隆の花押のみが記されている。「権大納言」とあるので、実隆がその任に就いていた1489年延徳元年)から1506年永正3年)までの間に成立したと見られる。 本写本山岸によると大体が実隆自筆による写本とされているが、附属の「源氏物語筆者の数」によれば、実隆自身により筆写された巻は「篝火1巻のみであり、本写本全体としては実隆の周囲にいた複数人物により書写された寄合書である。当時天皇はじめとして身分の高い堂上人や著名な連歌師などが書写することで権威高めた本であると推測されている。 山岸は、自身が手がけた注釈書である(旧)日本古典文学大系本の底本に本写本採用し、本写本三条西家証本としていることや、源氏物語解釈などには大きな影響力持った流布本であった伝嵯峨本源氏物語絵入源氏物語首書源氏物語湖月抄などの江戸時代などの版本がこの写本の系統本文に近いことなどを理由としてこの写本藤原定家自筆本最も近い青表紙本最善本であるとした。一方池田亀鑑源氏物語大成底本大島本採用し、「藤原定家自筆本除けば大島本青表紙本最善本である」としたため両者議論繰り広げた。しかし本写本本文自体藤原定家自筆本明融本など青表紙本系統の写本尾州家本や高松宮家本など河内本系統の写本保坂本・国冬本御物本・穂久邇文庫本など別本属す写本詳細に比較する研究進められ結果、本写本の「玉鬘」「匂宮」の2帖は青表紙本ではなく河内本属す本文であり、「須磨」「梅枝」「柏木」「宿木」の4帖は別本本文とすべきことが指摘され全体として良質な青表紙系統本文とは言い難い評価されるようになり、その後源氏物語校異を示すに当たって比較対象一つとして取り上げられることはあっても底本として採用されることはほとんど無くなっている。1993年平成5年)から1997年平成9年)にかけて同じ岩波書店から出版され新日本古典文学大系『源氏物語』では三条西家本代えて大島本底本採用している。

※この「書陵部蔵本」の解説は、「三条西家本」の解説の一部です。
「書陵部蔵本」を含む「三条西家本」の記事については、「三条西家本」の概要を参照ください。

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