日本国外での作品公開と評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:02 UTC 版)
「スタジオジブリ」の記事における「日本国外での作品公開と評価」の解説
ベルリン国際映画祭の金熊賞やアカデミー賞の長編アニメーション賞、ヴェネツィア国際映画祭の金オゼッラ賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けているスタジオジブリ作品であるが、そこに至る道のりは平坦ではなく、現在もその評価は一様ではない。 スタジオジブリ作品は早くから日本国外の映画祭に何度も出品したが、一般大衆レベルでスタジオジブリ作品が早くから受容されていたのは香港である。1987年に『天空の城ラピュタ』が『天空之城』のタイトルで公開され、興行収入はその年の香港における外国語映画2位となる1300万香港ドルのヒットとなった。1988年には『風の谷のナウシカ』が『風之谷』のタイトルで1070万香港ドル、同年に『となりのトトロ』が『龍猫』のタイトルで1100万香港ドルの興行収入を挙げた。いずれも、1997年時点で香港における日本映画の上位に食い込む好成績だった。以後も『魔女の宅急便』が『魔女宅急便』のタイトルで1990年に公開されるなど、スタジオジブリ作品は香港で上映されていった。 その後、スタジオジブリ作品はニューヨーク近代美術館などで回顧展が開かれたり、『千と千尋の神隠し』が映画批評を集計するサイトRotten Tomatoesでほぼパーフェクトに近い点を記録したり、同作がアカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞したり、国際的なフランス人漫画家メビウスが自分の娘に「ナウシカ」と命名したりと高い評価を受ける一方、『ゲド戦記』の原作者で小説家でもあるアーシュラ・K・ル=グウィンは、本作の原作改変部分やディティールの弱い絵などに強い違和感を示した。 フランスでも宮崎駿監督作品の正式な紹介は遅れ、1993年のアヌシー国際アニメーション映画祭では『紅の豚』が長編部門の作品賞を受けるものの、1995年の劇場公開では興行的に惨敗した。 アメリカにも『風の谷のナウシカ』が輸出されているが、配給権を得たのは低予算C級映画で知られるロジャー・コーマン配下の会社であった。116分の本編は95分にカット、ストーリーも大幅に改竄されて『Warriors of the Wind』と題して、アメリカ国内で短い期間劇場公開されたのちにビデオで販売され、さらにはヨーロッパ各国にも転売された。この『Warriors of the Wind』は、宮崎監督作品のファンたちの間では悪評が高い。このアメリカ向け短縮版は宮崎に無断で作成されたものだったが、この一件で宮崎とスタジオジブリは自社作品の輸出に当たってはノーカット公開を要求するようになった。その後のアメリカでは、1989年に『天空の城ラピュタ』が『Castle in the Sky』のタイトルで小規模な劇場公開があったが、欧米では本格的な劇場公開は行われず、正規ルートでのビデオ発売も遅れたため、不法コピーの海賊版が出回っていた。アメリカでの興行収入は、スタジオジブリ作品では『借りぐらしのアリエッティ』が1920万ドルで1位、『崖の上のポニョ』が1509万ドルで2位、『千と千尋の神隠し』が1005万ドルで3位となっている。これは公開館数の違いもあるが、『借りぐらしのアリエッティ』のポスターや予告編は、旧来のスタジオジブリ作品に比べてディズニー色が強くなっている。『崖の上のポニョ』公開時から、キャスリーン・ケネディやフランク・マーシャルが英語吹き替え版の製作総指揮を務めるようになった。後述のGKIDSとスタジオジブリの新たな結びつきが生まれる中、『風立ちぬ』はそれまで公開された宮崎監督作品や『借りぐらしのアリエッティ』と同様、ディズニーが北米の配給権を取得している。 2018年に、『となりのトトロ』が北京や上海など中国の約50都市で劇場公開。中国本土で約6000館におよぶ、スタジオジブリ作品初の大規模な上映となった。2019年には、約9000館で『千と千尋の神隠し』が初公開された。
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