新生ピンク・フロイド(1986年 - 2004年)
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ギルモアはメイスンと共にピンク・フロイドの「解散」に強く反対してグループの存続を主張しており、ウォーターズの脱退を受け、自ら指揮を執って新生ピンク・フロイドを立ち上げた。ギルモアは多数の外部ミュージシャンを招聘してアルバム制作に取り掛かった。ウォーターズはこのピンク・フロイドの活動継続に激怒して訴訟を起こす。ギルモアは訴訟への対応を余儀なくされたが、『ザ・ウォール』に関する権利をウォーターズに譲ること、ステージでの「豚」のオブジェクトの使用禁止、楽曲使用に伴う収入の20パーセント強をウォーターズに支払うことなどを条件に両者は和解した。この両者の対立はマスコミやファンの注目の的となり、「ローリング・ストーン」誌のピンク・フロイド特集号はその年の同誌の売り上げナンバー・ワンとなった。 新生ピンク・フロイドは1987年に『鬱(A Momentary Lapse of Reason)』を発表、大掛かりなツアーを敢行してピンク・フロイドの復活を印象付けた。ウォーターズも同年にソロアルバム『RADIO K.A.O.S.』を発表した。ウォーターズは『鬱』並びに新生フロイドを「フロイドの真似事をしただけのニセモノ」と手厳しく非難した。両者は同時期にアルバムを発売し、アメリカ・ツアーではいくつかの都市で両者がバッティングすることもあったが、観客動員や注目度ではフロイドの圧勝に終わっている。 フロイドのコンサートは各地でソールド・アウトを記録して多数の追加公演が組まれ、1989年まで続く長丁場となった。1988年には3度目の来日公演も果たしている。 ウォーターズは、1990年にベルリンの壁が崩壊したのを受けて『ザ・ウォール』の再現コンサートをベルリンで行うことになった。こちらにも多数のミュージシャンが集まっての一大イベントとなった。これは評判を呼び、『ザ・ウォール〜ライブ・イン・ベルリン(The Wall - Live in Berlin)』としてライブ盤とビデオが発売されている。 1992年、ウォーターズはソロアルバム『死滅遊戯(Amused to Death)』を発表する。これはウォーターズ得意のコンセプト・アルバムであり、批評家からも高い評価を受けたもののセールス面ではゴールド・ディスクにとどまる。当時「200万枚売れたらツアーをやる」と公言していたが、結局このときは実現しなかった。 ピンク・フロイドは1993年秋頃に再始動し、1994年に『対/TSUI(The Division Bell)』を発表。収録曲「孤立(Marooned)」はグラミー賞ベスト・ロック・インストゥルメンタル部門を受賞。そして再び大規模なコンサート・ツアーに出る。全112公演で、ツアーの総費用は2億ドルに及んだ。このツアーでは『狂気』組曲を1975年以来19年ぶりに演奏し、このライブの模様を収めた『P.U.L.S.E』もリリースしたが再び沈黙に入る。 ピンク・フロイド側とロジャー・ウォーターズ側は決定的に対立し、インタビューでウォーターズとギルモアが互いを非難しあうことが多かった。しかし1990年代末より、両者の間の距離は少しずつではあるが縮まり始めていった。 2000年になって、1979年発表の『ザ・ウォール』に伴うツアーの模様を収録したライブ・アルバム『ザ・ウォール・ライヴ:アールズ・コート1980-1981(Is Anybody Out There? The Wall Live 1980-81)』を発売。 2001年にはベスト・アルバム『エコーズ〜啓示(Echoes: The Best of Pink Floyd)』をリリース。ウォーターズを含めた4人で選曲が行われ、ピンク・フロイドにとって初と言ってもいいベスト盤となった。全英・全米ともに2位を記録し、相変わらずの人気を示した。メンバーの和解による再結成の期待が高まったが、再びバンドとしての活動が無い時期が続く。 2003年、長年ピンク・フロイドのマネージャーを務めたスティーヴ・オラークが死亡。ウエスト・サセックスのチチェスター大聖堂で行われた葬儀の際、ギルモア、メイスン、ライトが「デブでよろよろの太陽(Fat Old Sun)」と「虚空のスキャット(The Great Gig in the Sky)」の2曲を演奏する。
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