新ワールドトレードセンターの建設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 09:43 UTC 版)
「ワールドトレードセンター (ニューヨーク)」の記事における「新ワールドトレードセンターの建設」の解説
ワールドトレードセンターの再建についての議論はテロによる破壊の直後から始まった。2001年11月には再建プロセスの監督を目的とする「ロウアー・マンハッタン開発公社(英語版)(LMDC)」が設立された。LMDCは用地計画や建築デザインを選定するのためのコンペを実施し、その結果ダニエル・リベスキンドによる「メモリー・ファウンデーション(英語版)」と題する設計案がマスタープラン(基本計画)として採用された。リベスキンドはベルリン・ユダヤ博物館に代表される祈念モニュメントの設計に実績があり、今回も尖塔までの高さ1,776フィート(541m、アメリカ独立の1776年にちなむ、ただし建物部分は70階建)の自由の女神を模したフリーダム・タワーがそのデザインの中核を占めていた。またツインタワーのあった場所は慰霊の場とし、その周囲をストーンヘンジのように囲む5つの高層ビル群は、毎年9月11日の朝の旅客機衝突時刻からビル崩壊時刻までの間、タワー跡地には影を落とさないように配置されていた。しかし最終的に、リベスキンドの案には大幅な変更が加えられることとなった。 港湾公社は9.11テロ直前の2001年7月、ニューヨークの不動産開発業者ラリー・シルバースタインにWTCを長期リースする契約を交わしており、その結果シルバースタインが事実上の再建施工主となったため、事態は複雑な様相を呈するに至った。商業価値を優先するシルバースタインはモニュメントとしての性格が強いリベスキンド案を嫌い、SOMのデイヴィッド・チャイルズを参加させて設計に大幅な変更を加えたため、リベスキンドとの間で訴訟沙汰となった。 両者は和解し、新たにリベスキンド・チャイルズ折衷案が公表されたものの、今度は警察当局や米国本土安全保障省などから保安上の設計変更が求められ、さらに港湾公社やこれを管轄するニューヨーク・ニュージャージー両州議会などの意向も加わり、設計変更が繰り返され、フリーダム・タワーも自由の女神のデザインは特に取り入れないこととなった。 2002年5月いっぱいで残骸はすべて撤去され、遺体の捜索も合わせて打ち切られた。以後、新ワールドトレードセンターや地下鉄の再建が始まり、その第一歩として、新7WTCが2006年に竣工、WTC全体の再建事業完成は当初は2010年代前半となる予定であったが、リーマンショックなどの経済的な事情により大幅に遅れ、2020年代前半になると見込まれている。なお再建後の名称は従来どおり「ワールドトレードセンター」とされた。 新ワールドトレードセンターの構成は以下のとおり。6 ワールドトレードセンター(英語版)にあたる建物は計画されておらず、欠番となっている。 ワン・ワールド・トレード・センター(WTCタワー1): 高さ541.3m、SOMのデイヴィッド・チャイルズ(英語版)設計(2014年11月3日竣工) 2 ワールドトレードセンター(WTCタワー2): 高さ411m、ノーマン・フォスター設計(完成未定) 3 ワールドトレードセンター(WTCタワー3): 高さ378m、リチャード・ロジャース設計(2018年6月11日竣工) 4 ワールドトレードセンター(WTCタワー4): 高さ297m、槇文彦設計(2013年11月13日竣工) 5 ワールドトレードセンター(WTCタワー5): 高さ226m、コーン・ペダーセン・フォックス設計(2028年完成予定) 7 ワールドトレードセンター(WTCタワー7): 高さ226m、SOMのデイヴィッド・チャイルズ(英語版)設計(2006年5月23日竣工) トランスポーテーション・ハブ(PATH新ターミナル): サンティアゴ・カラトラヴァ設計(2016年オープン) ウエストフィールド・ワールド・トレード・センター(英語版):(2016年8月16日オープン) 国立9.11記念碑・博物館 :2011年9月11日博物館オープン(第1期)、9月12日記念碑オープン。博物館は2014年5月21日オープン(第2期)。 リバティ・パーク(英語版):2016年6月29日開園 芸術交流センター(英語版):フランク・ゲーリー設計(2023年完成予定) 聖ニコラス聖堂(2022年7月完成予定)
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