文字名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 04:18 UTC 版)
「ロシア語アルファベット」の記事における「文字名」の解説
1900年頃までは、教会スラヴ語より受け継いだ名前が使用されていた。1708年に制定された名前で、1918以前の正書法に見られた。 ロシア人の詩人アレクサンドル・プーシキンは次のように記している。"アルファベットを構成する文字名称は何も生み出していない。Аз, буки, веди, глаголь, доброなどは独立した単語であり、語頭にその文字が使用されている単語名を選んで文字名に当てているに過ぎない。" しかし、アルファベットの最初の文字の名前を並べると文章の形式をとっているように見え、初学者のためいろは歌のようにアルファベットを覚えやすくために構成し文字に名称を与えたのではないかと考えられている。 以下に文字の並びに対しデコードを試みた一例を示す。 аз буки веди 私は文字を知っている глаголь добро есть "単語は財産" живете зело, земля, и иже и како люди "生き、誠心誠意働けば、周りの人々は従ってくれるだろう" мыслете наш он покой "周りの世界を理解しようとしなさい" рцы слово твердо "しっかり知識を運用しなさい("単語"はここでは"知識"を指す)" ук ферт хер "知識は創造主により醸成された物、知識は神の贈り物" цы червь ша ер ять ю "勉学に励みなさい、創造主の御光を理解するために" この文字配列の最初の2行は文字名に当てられている単語の意味となんとか対応しているものの、以降の行に関しては贋作もしくは当初は作成されていなかったのではないかと考えられている。例えば、"покой"("平和" や "静けさ"を表す)という単語は"周りの世界"を意味しないし、"ферт" はロシア語や他のスラヴ語派では意味を成さない(スラヴ語派のもととなった言語にはфで始まる単語がなかった)最後の行で意味を成す文字列は"червь"(ワーム)のみであるが、これは実際の意味と対応していない。 文字名を定めて「いろは歌」のようなものを構成したこの配列はもう一つ違う表現のものがあり、こちらには1750年代なかばまでに廃止された文字も含まれている。 原語表記 ラテン文字転写 翻訳 А(в)се буквы ведая глаголить – добро есть. Живет зло (на) земле вечно и каждому людину мыслить надо о покаянии, речью (и) словом твердить учение веры Христовой (в) Царствие Божие, чаще шептать, щтоб (все буквы) (вз)ятием этим усвоить и по законам божьим стремиться писать слова и жить A(v)sye bukvy vyedaya glagolit' – dobro yest'. Zhivyet zlo (na) zyemlye vyechno i kazhdomu lyudinu myslit' nado o pokayaniyi, ryech'yu (i) slovom tverdit' uchyeniye vyery Khristovoy (v) Tsarstviye Bozhiye, chashchye sheptat', shchtob (vsye bukvy) (vz)yatiyem etim usvoyit' i po zakonam bozh'im stremit'sya pisat' slova i zhit') これらの文字をすべて知ることは会話に美徳を与えるものである。悪徳は地球上に永遠に蔓延るものであり、各々はキリストや神の国の信仰を心に固く誓い懺悔しなければならない。神の法に則って文字を記し生活するため、この文章を繰り返し口ずさみすらすらと発音できるようにせよ。
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