放送記者
概要解説 放送記者は原則として、NHKと民間放送(民放)の各放送局の職員が社員です。そして、全国でNHK54、民放186の放送局に配置されていますが、放送局のほとんどは、県庁所在地クラスの大都市に置かれています。放送記者は、取材記者ともいわれ、政治、経済、社会などいをいろな分野で、人々が関心を持つ新しい情報(ニュース)を、視聴者を代表して取材するのが仕事です。取材範囲は主に国内ですが、海外で取材する場合もあり、中には海外特派員として常駐することもあります。放送記者は通常、報道局に属し、外勤記者、内勤記者に分けられます。外勤記者は、国会、県庁、警察などの主な公共機関の記者クラブなどに常駐して取材に当たります。編集記者あるいはニュースディレクターは内勤記者ですが、本社には、内勤と外勤の中間の遊軍記者もいて、事件に応じて外に出て、独特の取材や応援取材をします。情報化時代の声とともに、テレビ・ラジオでは情報番組が脚光を浴びてきており、放送記者の重要性はますますたかくなることでしょう。放送記者の仕事は、映像化時代の先端を行くので若者に人気があり、このために競争率は高くなる一方で、放送記者になる道は極めてけわしいといえるでしょう。 必要な能力・資格など 放送記者は身分上、放送局の職員が社員なので、まず放送局の就職試験を受けなければなりません。学歴は大卒が一般的です。入社試験は、NHKで新卒者27歳までなど、年齢制限をする局もありますが、学部を指定することはなく、また新聞や放送などマスコミ関係の学科を優遇することもありません。高い識見と幅広い教養が求められているだけで、専攻についてはまったく自由なのが特徴です。いずれにしても、極めて狭きもんで、東京の局で一般公募をすれば100倍ぐらいの競争率になり推せんや縁故募集でもかなりの競争率になるのが普通です。 関連する職業
記者
(放送記者 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/02 14:08 UTC 版)
記者(きしゃ、英: reporter)とは、テレビやラジオ、新聞や雑誌などで取材、記事を編集記録し、メディアを通して自分の声で取材内容を視聴者・聴衆者に報告などを行う職業のこと、あるいはそのような職業に就く人物のことである。狭義では、マスメディアに雇われて記事制作に従事する企業内記者を指す。
新聞記者の場合、特にブン屋と呼ばれる。
雑誌記者の場合は、自分では原稿をほとんど書くことなく編集業務専従というケースも多く(特にマンガ雑誌)、かつてはこうした存在も大抵記者と呼んでいたが、現在は編集者と呼び分けることも多い。
求められる能力・資質と問題
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ラジオ・テレビニュースや新聞は、その形式上、限られた文字数で記事を書かなければならないため、「短くまとめる」「専門用語は分かりやすく書く」「要点を先に書き、詳細な説明を後に持ってくる」という文章構成能力が記者には要求される。それらを実現するための多種多様な分野の知識に通じている必要もある。また、記事を短く分かりやすくまとめるために、文章には「紋切り型」の表現が多用され、文章表現には執筆者の個性はなるべく出さないことが求められる。
新聞記者に小説を書かせると、あまり読みやすい文章を書けず駄文となってしまう人も多い。長文を書く構成力や、説得力ある表現が求められる作家とは要求される能力は異なるのである。新聞記者出身の作家は少なくないが、いずれも記者生活で培った文章力を土台としつつも、独自に作家としての表現を研鑽した上でデビューしている。
記者が行使できる報道の自由は世界共通のものではなく、国によっては政治体制を支える思想への理解度を求められることもある[1]。
内部的自由
内部的自由とは1960年代のドイツで生じた、新聞発行者に対する編集スタッフの権利に関する概念である[2]。記者は報道機関の活動を遂行するために雇用された従業員であり、その指揮命令に従うことが求められる。一方、記者は表現活動に従事するため、社の編集方針と個人の思想や良心との軋轢という問題を抱えることがある。また、質の高い報道活動を行うためには、記者の専門的な職能が活かせるように自由な活動を認める必要もある。このように、一般企業の従業員とは異なり、報道機関では編集が全てを決定し記者が忠実に遂行するという構造はジャーナリズムの本質から言えば妥当では無く、個々の記者の自由を尊重すべきと考えられた[2]。
伝統的に党派色の強いヨーロッパの報道機関では、編集綱領で記者の内部的自由が明文化されている場合がある[2]。また、フランスの労働法典にはジャーナリストの良心を保護する良心条項という規定がある[2]。良心条項では、買収などによって所有者が変更した場合や、報道機関の編集方針に大きな変化が生じた場合に、記者の政治的信条や良心との齟齬を理由に離職すると、整理解雇と同様の手当てを受けられる権利があるとされている。
日本における問題点
企業内ジャーナリストとしての「記者」の特有の問題点で一般的に指摘されるのは次の通りである。
学閥が形成されやすい。ほとんどのマスコミ企業は大学の新卒者からしか記者を採用せず[3]、伝統的に政治部記者は、東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の3校出身者が多くを占めていて、高級官僚、政治家の出身校も似た傾向のため、政治部報道はごく一部のそうしたエリート層の論理で作られ、報じられているのではないかと指摘している者もいる[3]。アメリカも学歴偏重社会だが、さまざまな経歴を持った者を記者に採用する[3]。
元・毎日放送記者の鎌田正明は、テレビ局の記者は専門職ではなく、昨日まで営業や経理といったまったく畑違いの仕事をしていた局員が記者にされることがあり(その逆もある)、生涯報道畑で修練をかさねる職人肌の新聞記者などにくらべると、経験の蓄積や対人能力の鍛錬、モチベーションにどうしても差がでてくるので、取材のプロではないにわか記者が取材にいくと、大事故の現場での大騒ぎや、悲惨な事件の被害者家族への無神経なインタビューといった問題をおこすことが多いと指摘している[4]。
脚注
- ^ “中国、記者に「習近平思想」試験 不合格なら取材NG”. 朝日新聞 (2019年10月23日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ a b c d 曽我部真裕 鈴木秀美 ・山田健太(編)「編集権と内部的自由」『よくわかるメディア法』 ミネルヴァ書房 <やわらかアカデミズム<わかる>シリーズ> 2011年(平成23年)、ISBN 9784623058501 pp.70 - 71。
- ^ a b c 上杉隆『ジャーナリズム崩壊』(初版)幻冬舎〈幻冬舎新書〉(原著2008年12月7日)、pp. 164 - 167頁。ISBN 9784344980884。
- ^ 鎌田正明「忘れられた「公共」の電波 テレビよ、誇りはあるか(第1回)「番組宣伝」ばかり見せられる視聴者」『週刊現代』第51巻第35号、講談社、2009年9月、p. 153、2009年12月16日閲覧。
関連項目
放送記者と同じ種類の言葉
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