改装後の主砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 14:01 UTC 版)
「コンテ・ディ・カブール級戦艦」の記事における「改装後の主砲」の解説
改装前の主砲は30.5cm砲13門であり、仮想敵ダンケルクの33cm砲8門に対し、少なくとも投射弾量では上回るものであった。しかしながら後述する通りダンケルクの高速に対抗するため、3番砲塔と弾薬庫を撤去して機関を増設する事となった。そのため何とか砲力を維持ないし向上するための方策に迫られた。砲力を増すには、より大口径砲を搭載するか同口径で長砲身砲を開発するのがセオリーであるが、一から大砲を開発している時間的余裕は無かった。また当然ながら重量も増してしまうため、換装するなら引き換えとして門数も減らさざるを得ないため、ただでさえ3番砲塔を撤去している以上、できない相談であった。そのため、イタリア海軍は止むを得ず既存の30.5cm砲の砲身のA内筒をボーリングして砲口径を30.5cmから32cmに上げる大口径化を採った。この方法ならば既存の砲身を加工するだけでコストも抑えられ、また砲塔1基あたりの主砲の門数も変わらず、改造も砲架の補強と揚弾機の改正で済むため主砲塔を新設計するよりは時間の短縮となった。 この改造により「1934年型 32cm(43.8口径)砲」へと生まれ変わり、性能的にも砲弾重量は452 kgから525 kgへと増加し、威力増加が見込まれた。同時に第一次世界大戦時の戦訓により射程を延ばす為に仰角は20度から27度へと増して射程距離は24,000mから28,600mへと延伸され砲弾重量の増加により敵艦の水平防御への貫通能力も増加する見込みであった。しかし、この改造の代償として口径は46口径から43.8口径にダウン、砲身を削って薄くなった事により命数は減少し散布界は広がった。しかし、発射速度は砲弾の重量化にも関わらず改装前と同じく毎分2発を維持した。俯仰能力は最大仰角27度・俯角5度で、旋回角度は改造前の150度から左右120度へと減少した。 前述の通り3番砲塔を撤去しているため、全体の門数は13門から10門へと減少、従って斉射時の投射弾量は改装前の5.876トン(452kg×13)から5.25トン(525kg×10)へと減少している。砲弾1発当たりの威力は増加しており一長一短である。しかしながら撤去した3番砲塔は射角が非常に小さく、13門を斉射できるシチュエーションは限定される。その事を考えるに総合的な火力はむしろ向上したとも言える。ただしダンケルクは8門全てを前方にも舷側方向にも斉射できるため、舷側方向しか斉射できない本級はその点では劣っている(もちろんダンケルクには後方が完全に死角になるという弱点もあるのだが)。ちなみにダンケルクの投射弾量は4.48トン(560kg×8)であり、改装の前後を通じて斉射弾量で上回り、1発当たりでは下回っている事になる。発射速度は毎分2発で同じである。その一方、ダンケルクの最大射程距離は40,600 m(最大仰角35度)であり、この点では圧倒的に差をつけられている。ただし第二次世界大戦時の欧州戦においては、対戦艦戦闘の射程距離がおおむね2万m台で行われており、仮に砲戦の機会があったとしても圧倒的に不利にはならなかったと思われる。
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改装後の主砲
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「カイオ・ドゥイリオ級戦艦」の記事における「改装後の主砲」の解説
改装前の主砲はカブール級と同じく既存の30.5cm砲身のA内筒をボーリングして砲口径を30.5cmから32cmに上げる大口径化を行った。この方法ならば既存の砲身を加工するだけでコストも抑えられ、改造も砲架の補強と揚弾機の改正で済むため主砲塔を新設計するよりは時間の短縮となった。 この改造により「1934年型 32cm(43.8口径)砲」へと生まれ変わり、性能的にも砲弾重量は452 kgから525 kgへと増加し、威力増加が見込まれた。同時に第一次世界大戦時の戦訓により射程を延ばす為に仰角の引き上げが行われたがカブール級の最大仰角27度に対し本級は30度へと更に引き上げられた。これにより射程距離はカブール級の28,600mから29,400mへと延伸され、砲弾重量の増加により敵艦の水平防御への貫通能力も増加する見込みであった。 しかし、この改造の代償として口径は46口径から43.8口径にダウン、砲身を削って薄くなった事により命数は減少し散布界は広がった。しかし、発射速度は砲弾の重量化にも関わらず改装前と同じく毎分2発を維持した。俯仰能力は最大仰角30度・俯角5度で、旋回角度は改造前の150度から左右120度へと減少した。 大きく変わったのは主砲塔数で後述する機関の強化に伴い、船体中央部の3番主砲塔を撤去して4基となった。これにより門数は13門から10門へと減少、従って斉射時の投射弾量は改装前の5.876トン(452kg×13)から5.25トン(525kg×10)へと減少している。砲弾1発当たりの威力は増加しており一長一短である。しかしながら撤去した3番砲塔は射角が非常に小さく、13門を斉射できるシチュエーションは限定される。その事を考えるに総合的な火力はむしろ向上したとも言える。
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