支給額・支給期間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 15:11 UTC 版)
2016年(平成28年)4月1日支給分より、1日につき、「傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)の3分の2に相当する額」(1円未満の端数を四捨五入)とされる。被扶養者の有無で額に変わりない。ただし標準報酬月額が定められている月が12か月に満たない場合は次のいずれか少ない額の3分の2に相当する額とされる(第99条2項)。 傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額 傷病手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1に相当する額 標準報酬月額は、被保険者が現に属する保険者等によって定められたものに限り、転職等で保険者が変わっている場合は従前の保険者等による標準報酬月額は算定の対象とならない。受給中に保険者を異動し同一の傷病について新たに加入した保険者から傷病手当金の支給を受ける場合、当該新たに加入した保険者において再度傷病手当金の額を算定し直す。同一の保険者で同一の傷病に関し、一度傷病手当金の額が決定すれば、その金額で固定され、その後定時決定等で標準報酬月額が変更されても、傷病手当金の金額は変更されない。なお直近の継続した12か月以内において被保険者の所属していた健康保険組合に合併・分割・解散があった場合は、当該事象が発生する前に定められた標準報酬月額は平均の算定に加えてよい。 健康保険組合の場合、付加給付として(第53条)、規約で定めるところにより、支給額の上乗せや支給期間の延長がなされる場合がある。 日雇特例被保険者の場合は、保険料納付期間において保険料が納付された日に係るその者の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの45分の1に相当する額となる(第135条2項)。 同一の傷病事由についての支給期間は、現実の支給開始日から起算して、通算1年6か月である(第99条4項)。途中でいったん労務に服した後に再度同一の傷病により休業した場合、従来は支給期間の延長はされない扱いとなっていた(支給開始日から暦日で1年6か月経過した場合、支給日数が1年6か月に満たない場合であっても支給は終了した)が、2022年1月の改正法施行により、支給日数が1年6か月に至るまで通算される扱いに変更となった。受給中に保険者間の異動があっても、前後を通算して1年6か月となる。傷病手当金の支給を受けている被保険者が、監獄・労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき(給付制限を受けたとき)も、その期間は1年6か月の期間内に包合する(昭和4年7月10日事発1175号、昭和5年8月26日保規451号)。なお、日雇特例被保険者の場合は支給期間は6か月(結核性疾病の場合は1年6か月)となり(第135条3項)、船員保険の場合は3年となる(船員保険法第69条3項)。事業所の公休日についても傷病手当金は支給される(昭和2年2月5日保理659号)。支給を受けている被保険者が死亡した場合、死亡当日までは傷病手当金が支給される。 「支給を始める日」とは、実際に傷病手当金の支給を始める日を指す。一般的には先に年次有給休暇を取得して(賃金が100%保障されるため)、それでもなお休業が続く場合に傷病手当金の受給を始めることになるので、「支給を始める日」は年次有給休暇を取得し終わった翌日(年次有給休暇を取得しなかった場合や、取得日数が2日以下の場合は、待期満了の翌日)となる。また報酬との調整(後述)により傷病手当金の支給が停止されている場合は、報酬が支給停止または減額支給により傷病手当金の額が少なくなった日が「支給を始める日」となる(昭和25年3月14日保文発571号、昭和26年1月24日保文発162号)。なお待期満了時に傷病手当金が支給されない場合、「支給を始める日」に改めて平均標準報酬月額を算定し直して傷病手当金の額を決定する。 傷病手当金を受給中に、別の傷病によりこれについても療養のため労務不能の状態となった場合、後発の傷病により労務不能となった日から起算して4日目から後発の傷病による傷病手当金が支給されるので、結果的には後発の傷病手当金が支給終了するまで支給期間が延長される(昭和26年6月9日保文発1900号、昭和26年7月13日保文発2349号)。ただしこの場合、二重に傷病手当金が支給されるのではなく、前後の傷病手当金のうちいずれか額の多いほうが支給される。 なお、傷病手当金を受給しているからといって、被保険者の保険料負担が免除されるわけではない。傷病手当金自体は、健康保険法でいう「報酬」には該当しないため、傷病手当金から保険料を控除することは認められない。
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