推薦書の提出まで
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「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の記事における「推薦書の提出まで」の解説
2000年代に入って、重伝建の町並みを持つ萩市(萩城下町を参照)や九州の自治体を中心に近代化産業遺産の啓発運動が行われていた。2005年7月には鹿児島県が九州に近代化産業遺産に関するシンポジウムを開催、2006年6月には九州地方知事会において「九州近代化産業遺産の保存・活用」を各県が連携して取り組む政策テーマに決定し、九州全体の取り組みへと広がる。 同年9月に文化庁が自治体から暫定リストの公募を開始したため、関係資産を有する6県8市が共同で提案を作成、同年11月に文化庁に提出する。この案では、官営八幡製鐵所 東田第一高炉跡(福岡県北九州市)、旧高取家住宅(佐賀県唐津市)が候補に挙げられていた。しかし、2007年1月の結果発表では継続審議となったため、資産を見直し同年12月に再提出した。この案では、新たに官営八幡製鐵所 西田岸壁(福岡県北九州市)、旧伊藤伝右衛門邸(福岡県飯塚市)、筑豊炭鉱 旧三井田川鉱業所伊田竪坑櫓、伊田竪坑第一・第二煙突(福岡県田川市)、新波止砲台跡(鹿児島県鹿児島市)、前田砲台跡(山口県下関市、1864年)が候補に挙げられていた。ここに挙げた資産はいずれも、2013年の暫定版推薦書で除外されている。 2008年12月15日、文化庁が北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群(北海道など)、宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県宗像市など)とともに追加申請を決め、翌2009年1月5日に暫定リストに追加掲載された。このときの名称は「九州・山口の近代化産業遺産群-非西洋世界における近代化の先駆け-」であった。 その後正式登録に向けて、2009年10月22日に「九州・山口の近代化産業遺産群専門家委員会提言書」が登録推進協議会の諮問機関である専門家委員会より提出され、構成資産の加除が提言された。この提案書では、テーマ別に9つのストーリーでの構成をとった。旧三井田川鉱業所伊田竪坑櫓・煙突ほか筑豊炭田の遺産などが削除された一方、祇園之洲砲台跡(鹿児島県鹿児島市)と六連島灯台(山口県下関市)が追加された(両資産は2013年の暫定版推薦書で除外されている)ほか、後に正式登録された三重津海軍所跡(佐賀県佐賀市、1858年)や橋野高炉跡(岩手県釜石市)、三池炭鉱関連の三池港(福岡県大牟田市)・鉄道敷跡(福岡県大牟田市・熊本県荒尾市)、韮山反射炉(静岡県伊豆の国市)が追加されている。 2013年4月には、登録推進協議会の会合で名称を「日本の近代化産業遺産群―九州・山口及び関連地域」に変更、修正した推薦書を政府に提出する。政府は同年9月17日、同遺産群を平成25年度の日本における世界文化遺産の「推薦候補」とすることを決定、9月27日に暫定版の推薦書をユネスコに提出した。暫定版では、構成資産自体は正式登録されたものと同じだが、区割りが8エリア28資産であった。翌2014年1月17日には閣議了解で世界文化遺産への推薦を決定、一部の関連資産同士を統合して8エリア23資産とした上で、1月29日に「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の名称で正式版の推薦書を世界遺産センターに提出した。 遺産群の中には文化財保護法対象外の稼働遺産が含まれていることから、法的保護根拠の新たな解釈調整が必要となり、国内の文化遺産では初めて文化庁ではなく内閣官房(地域活性化統合事務局)によって推薦が行われた。
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