控訴審・広島高裁
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「福山市独居老婦人殺害事件」の記事における「控訴審・広島高裁」の解説
1995年(平成7年)12月8日に広島高等裁判所で控訴審初公判が開かれ、検察官(被告人Nの無期懲役判決に対し控訴)と被告人Xの弁護人がそれぞれ控訴趣意書で量刑不当を主張し、検察官が被告人Nへの死刑適用を求めた一方、弁護人は「被告人Xの無期懲役判決は重すぎる」と主張した。 検察官による控訴趣意書の要旨 - 「第一審判決で広島地裁が下した『無期懲役ならば最低30年は服役するはずだ』という判断は根拠がなく、仮出獄制度の運用を裁判所の判断に沿うよう更生保護委員会へ求めることは職権逸脱だ。(当時の有期刑上限は最高20年で)ただ長期間服役すればいいという判断は刑法の趣旨からは許されない。過去に強盗殺人を犯して無期懲役に処されたにもかかわらずその仮釈放中に再び強盗殺人を犯した被告人Nには無期懲役は軽すぎるため、死刑を適用すべきだ」 被告人Xの弁護人による控訴趣意書の要旨 -「被告人Xの役割は共犯者(被告人N)の補助的役割に過ぎず、強盗殺人未遂罪が相当」「判決宣告の際、将来の服役態度で認められる仮出獄を判決の際に評価に加えることは、仮出獄制度を形骸化するものだ。被告人Xに対し無期懲役は重すぎて量刑不当であり、有期懲役刑を適用すべきだ」 被告人Xは控訴審で「1995年11月3日 - 4日の午前中ごろ、当時収監されていた広島拘置所にて担当刑務官に声を掛けたところ、その刑務官から『道で2人で首を絞めてからNが被害者Aを崖下へ引きずっていき、NがAにとどめを刺したのだろう。Nは私に「自分がとどめを刺した」と言っていた』と発言された」と述べているが、それに対し「被害者が谷底で息を吹き返したことはない」と一貫して供述していた被告人Nは「その刑務官のことは知らないし、事件のことを話したこともない」と反論した。結果、広島高裁 (1997) は判決で「被告人Xの供述は絞頸行為と被害者死亡との因果関係を明確に否定するもの。拘置所の刑務官が共犯関係の被告人から聞いた事件に関することを他の刑務官に知らせることはまずありえず、その『刑務官から聞いた話』の経緯にも具体性がなく、不自然な内容で信用しがたい」として、Xの主張を退けた。 検察官は当審にて1996年(平成8年)12月3日付の弁論要旨(作成検察官:安田哲也)記載の通り弁論を行ったほか、弁護人も意見書要旨(弁護人・合志喜生作成)記載の通り弁論を行った。 1997年(平成9年)2月4日に広島高裁(荒木恒平裁判長)で控訴審判決公判が開かれ、同高裁は控訴をいずれも棄却して両被告人への第一審・無期懲役判決を支持する判決を言い渡した。判決要旨は以下の通り。 「犯行は悪質だが、検察が死刑を求めている被告人Nは極刑を覚悟して反省の情を表す供述態度を示しており、『人間性の片鱗がみられる』とした第一審判決が軽いとは言えない。減軽を求めている被告人Xも動機に酌むべき点はなく、重大な社会的影響も考慮すれば第一審判決が重すぎるとは言えない」 「第一審判決は無期懲役選択時の服役期間について検討しており、現行刑法の趣旨に反するとは言えない」 被告人Xは同日中に最高裁判所へ上告したが、後に無期懲役判決が確定した。
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