採用経度系の統一と慣用国際原点 (CIO) の採用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 14:42 UTC 版)
「世界時」の記事における「採用経度系の統一と慣用国際原点 (CIO) の採用」の解説
1962年に国際報時局(BIH、現IERS)の主導により天文台の採用経度の第1回国際的全面改定が行われた。国際報時局(BIH、現 IERS)を中核とする国際報時事業に参加する天文台は年とともに数を増してきたが、新しく参加する天文台は、無線報時信号を仲介として既設の天文台との時刻比較を行い、その天文台の採用経度を参考に新たな天文台の経度値を決める手順をとったため、全体として採用経度系が不統一となっていた。採用経度値を頻繁に変更すると、後からの資料の整理計算に甚だしく不利となるので、それまで極力避けられてきたが、観測精度の向上、時計や無線報時の時刻比較精度の向上につれて、いままで採用経度系の杜撰さが目立つようになったので、採用経度系を統一することになった。このときの経度の極原点は、国際報時事業に参加する天文台の採用経度系から平均的に規定され、その後に採用される慣用国際原点(CIO、1900年から1905年までの6年間に極運動で移動した北極の平均位置)とは無関係であった。この際、各国の天文台は採用経度値の変更に応じて UT1 についても変更を要請されており、東京天文台の場合は -8 ms であった。こうして各天文台ごとの UT1 も、それらを国際報時局(BIH、現 IERS)で整約・加重平均して算出する UT1 もミリ秒単位の不連続が発生した(UT1 に補正を加えた UT2 も同様)。また、1964年にハンブルクで開催された第12回国際天文学連合 (IAU) で天文常数の変更が批准され、1968年から実施された。この天文常数の変更の中に光行差常数の変更があったため、天文台からみた恒星の見かけの方向の解釈が変更されることになり、採用経度の変更とは別に世界時に不連続が発生する。東京天文台での UT1 の不連続は +1.8 ms であった。さらに、1967年8月にプラハで開催された第13回国際天文学連合 (IAU) の決議(第19委員会、地球回転)により、北極点として慣用国際原点 (CIO) が採用される。これに伴い、国際報時局(BIH、現IERS)での統一計算の結果に基づいて第2回国際的全面改定が行われ、1969年から各国の天文台にその採用経度値を変更するよう要請される。これに伴う東京天文台での UT1 の不連続は +2.8 ms であった。なお、このときリッチモンド(アメリカ海軍天文台 (USNO) のフロリダ支所)とワシントンは基本星表FK4の採用に伴い赤経の偏りに応じた採用経度の変更を行ったが、この処置は世界時には影響しない。
※この「採用経度系の統一と慣用国際原点 (CIO) の採用」の解説は、「世界時」の解説の一部です。
「採用経度系の統一と慣用国際原点 (CIO) の採用」を含む「世界時」の記事については、「世界時」の概要を参照ください。
- 採用経度系の統一と慣用国際原点 の採用のページへのリンク