採用とその評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 03:27 UTC 版)
「クイックタイムイベント」の記事における「採用とその評価」の解説
QTEには、プレイヤーと批評家双方からのさまざまな意見がある。QTEは上手く使えばムービーや演出の効果を高めることができ、『シェンムー』でのQTEはムービーからQTEへロードなどを挟まずにシームレスに移行し、QTEの場面は「ゲーム中最もスリリング」とも評された。その一方、QTEはしばしば成功するまで展開を滞らせ、プレイの単純化や作業化をもたらすため、「アクションゲームにおける害悪」とすら評される。QTEに失敗したら死ぬということから、「Press X to not die」という言葉がQTEを象徴する言葉として使われている。また、いつQTEが起こるかもしれないと緊張させたり、突発的なQTEに苛立たせられることもある。 QTEはムービーでもよく使われ、例えば『バイオハザード4』では、プレイ場面とムービーをシームレスにつなげ、ムービー中にもプレイヤーがゲームから離れないように使用されている。同作での代表的な例は主人公と敵がナイフで戦う場面で、ムービー中に会話が続けられる中で何度か攻撃を受け、その都度表示されたボタンを押して防がねばならず、失敗すると主人公は殺されてしまう。こういった使い方は、せっかく作ったムービーを、一度観た後でもスキップさせないという効果があるが、QTEに失敗して死んだ場合はまた最初からムービーを観なければならなくなる。さらに、こういう使われ方をされると、ムービーの内容よりもQTEの表示の方に集中するようになり、肝心のムービーが頭に入らないという本末転倒なことにつながってしまう恐れがある。 ムービー中にQTEを使用するもう1つの問題に、場面の重要性や沸き起こる感情を1つのボタン操作に単純化し、希薄なものにしてしまうというものがある。この問題は、『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』で提起された。この作品では、序盤に死んだ戦友の葬儀に出席する場面があり、ボタンを押して兵士を悼むことができる。このようなやり方はかなり下手な演出であり、操作をせずにもっと上手く演出できたと主張する者もいる。 失敗したら即死やペナルティではなく、積極的な攻撃に使われるQTEもある。『ゴッド・オブ・ウォーシリーズ』や『ニンジャブレイド』などに使われているのが代表例で、多くはボス敵への止めといった見せ場に使用される。戦術的優位性を得るためといったものもあり、一例として『Gears of War 2』では円形のエレベーターに乗っている場面で、コントロールパネルのQTEによって敵よりも高所を確保できるといったものがある。 より進んだゲームでは、ムービー内のQTEがその先のストーリーに影響を与えるといったものもある。『Mass Effect 2』および『Mass Effect 3』では、ムービー中でも操作キャラクターに英雄的行動を取らせるか否かといった選択が発生する。『ウォーキング・デッド』では、戦闘以外でも会話などでの決断に時間制限があり、緊張感を高めると共に選べないと後の展開に影響が出ることがある。 ゲームによっては、QTEがプレイの中心になっていたり、全体がQTEの集合体のようなものもある。『ファーレンハイト』などクアンティック・ドリームの制作したゲームにはそういった独特な作品が多く、より直感的な操作ができるPlayStation Moveに対応可能な、『HEAVY RAIN 心の軋むとき』でさらに顕著になった。『HEAVY RAIN』では、全編にゲームとしては不要だったり、多少失敗しても問題が生じなかったりするQTEが無数にちりばめられており、プレイヤー独自の物語を演出するといったものが多い。レセプションで、早々にこういったQTEに疑問を持った批評家たちから、ディレクターのデイヴィッド・ケイジはゲームについて必死に釈明することになった。 QTEは元々、通常の操作では難しいか不可能なアクションや演出に用いられ、そこで効果を発揮してきた。しかしグラフィックや操作法、物理演算エンジンやAIなどの進歩によって、より進化したゲームが登場するにしたがい、かつてはQTEで行っていたものが通常のプレイで行えるようにもなっている。かつて『ロードブラスター』では、再生映像内で車をQTEによって操作し、暴走や破壊が行われていたが、より進化したゲームである『バーンアウト パラダイス』などでは、直接車を操作して同様のことが行える。『ドラゴンズレア』にしても、『Dragon's Lair 3D: Return to the Lair』で3Dアクションとして初代の再現を試みている。
※この「採用とその評価」の解説は、「クイックタイムイベント」の解説の一部です。
「採用とその評価」を含む「クイックタイムイベント」の記事については、「クイックタイムイベント」の概要を参照ください。
- 採用とその評価のページへのリンク