従来「エウフォルビア・カンデラブルム」とされてきたもの = チュウテンカク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 09:39 UTC 版)
「エウフォルビア・カンデラブルム」の記事における「従来「エウフォルビア・カンデラブルム」とされてきたもの = チュウテンカク」の解説
ここまでは Euphorbia candelabrum の名で記載された学名が2つあり、そのうち一方のみが有効、という話であった。そしてここからは、これらの学名のうち一方が全く別の種に対して誤って用いられていたことについて、つまり学名の誤用についての話である。Bruyns & Berry (2019:834) は彼らが確認することができた限りでは1982年のカーターの著作中で用いられた検索表が、東アフリカに分布する高木を指して Euphorbia candelabrum の名が文献上で用いられた最初の事例であるとしたが、実際にはそれ以前にも言及例は存在する。ともあれカーターは1984年には「この木は東アフリカ中でかなりありふれたものであり、長きにわたって E. candelabrum の名で知られてきた」、その4年後には「個人的には、コチーにより記載されたスーダン産の種と同一の高木がケニアにあるということに疑いは抱いていない」と述べ、コチーによる "E. candelabrum" という学名をエチオピア、ソマリア、ケニアに見られる種を指して用いることを正当化してきた。しかしカーターは一方で "E. candelabrum Kotschy" はチュウテンカク(Euphorbia ingens)と「非常に近縁」で、両者は「ゆくゆくは同一種であることが判明するかもしれない」とも述べており、さらに他の学者からも "E. candelabrum Kotschy" に関して「非常に近縁な種であり、恐らくは同一種で、南はナタール州に至るまで見られる(E. ingens E.Mey)」とされたり、チュウテンカクやアラビアに自生する Euphorbia ammak Schweinf. と同一であるとと考えられたり、またチュウテンカクに関して「東-北東アフリカの E. candelabrum Kotschy と酷似し、同一種であるかもしれない(L・C・リーチ(英語版)談)[…] 目下のところは2つの地域の個体群は2つの種として扱っておくのが最も実用的と思われる」とされたりしていた。そして2019年、Carter (1988b) および Holmes (1993) のいう "E. candelabrum Kotschy" と Carter & Leach (2001) のチュウテンカクの記述を比較したところ、形態的な差異はほとんど認められず、両者ともにチュウテンカクとして扱うのが妥当であるという結論が導き出された。以下の表はその具体的な比較内容である。 "Euphorbia candelabrum Kotschy" として言及されてきた種とチュウテンカクの比較E. murielii N.E.Br.Carter (1988b)、Holmes (1993)、Gilbert (1995) が "E. candelabrum Kotschy" として言及した種チュウテンカク分布スーダン コンゴ民主共和国、エチオピア、スーダン、ソマリア、ウガンダ、ケニア、タンザニア、ザンビア、マラウイ コンゴ民主共和国、エチオピア、ソマリア、ウガンダ、ケニア、タンザニア、アンゴラ、ザンビア、ジンバブエ、マラウイ、モザンビーク、エスワティニ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ共和国 若く、分枝していない茎不明 4-5稜 4-5稜 梢の小枝弱くくびれているが全体的に直径の等しい継ぎ目を持つ(E. murielii)非常に弱くくびれている(E. calycina)4-5稜 ±不規則な感覚でくびれ、細長い切片 となる(3-)4(-5)稜 不規則な感覚でくびれ、細長い切片となる(3-)4(-5)稜 梢の小枝の断面4稜 正方形-際立った翼(よく)付き、翼は幅2.5センチメートル以下 正方形-際立ちながらも太い翼付き、翼は幅3センチメートル 若く、分枝していない茎についた葉不明 7×1.5センチメートル以下 倒披針形、8×2センチメートル以下 梢の枝上の葉鱗様(E. calycina)±2×2ミリメートル、3角形(E. murielii) デルタ字(Δ)状±5×5ミリメートル デルタ字状3×3ミリメートル 子房子房は小花梗上で雄蕊(おしべ)を超えるだけ突出し、長さは総苞と同じくらい、一方へ曲がる 杯状花序に内包 杯状花序に内包 蒴果不明6×8ミリメートル前後(E. murielii)太い小花梗上に少なくとも長さ5ミリメートルは突出 非裂開性(肉質)8×12ミリメートル前後5-7×10ミリメートル前後太く直立する小花梗上に長さ5ミリメートル前後が短く突出 非裂開性(肉質)7×10ミリメートル太く直立する小花梗上に長さ5ミリメートルが短く突出
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