強制説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 02:22 UTC 版)
「朝鮮総督府が皇民化政策の立場から、朝鮮名を奪い、日本人のような氏名を名乗るよう強制した」とする説。 韓国の圧倒的多数の論者、北朝鮮の政府見解、日本の左派のマスコミ、歴史学者、政治家、市民団体、進歩的文化人に支持されている説。この説は、夫婦同姓義務と改名の権利という創氏改名が、「日本風の氏名への変更義務」への誤解がされていて、そもそも名の改名まで義務と誤解しているなど問題であった。日本では左派の数自体は少なかったものの、主張の影響力は強く、過去の日本の歴史教科書のほとんどが、この立場に沿った記述していたが、是正されている。 彼らは日本名への変更は法規で一律に強制されたものとしているが、日本名への改名は法的強制ではなかった。「事実上の」強制があったとする意見は、当局が消極的だった内地に比べ、朝鮮半島で8割もの者が設定創氏をした理由は、朝鮮総督府下の行政機関が設定創氏しない者に対し、様々な許認可や職業上、また子弟の就学等の面で不利益を与え、圧力を加えて届出を強要し、創氏反対の言説を取り締まった結果であるとしている。 創氏の夫婦同姓への抵抗というより、創氏を揶揄するような「犬の子」を氏として提出しようとする者もいた。慶尚南道東莱邑の檜山錫斗(元の朝鮮名は不明)は、「昭和十七年十一月二日釜山府寿町福成旅館庭先に於て金光今述外二名に対し、『一昨年自分は犬の子と創氏して東莱副邑長に書類を差出したら、何故犬の子と創氏するかと理由を問うので、自分は朝鮮人は変姓せば犬の子、牛の子と呼ばれるから、創氏は変姓であるから犬の子と創氏したと答えたら、副邑長は自分を叱り、もし斯様な事を警察に知られたら貴殿は処罰されるから改めて届出よと云われ、檜山と創氏したが、朝鮮人は存在がない』と放言」したとして、懲役六ヵ月の判決を受けたと記録されている。 また、総督府に対しては、「朝鮮風習を保護すべし、氏制度を中止すべし」といった趣旨の投書の他に「天皇族皆殺郎」や「昭和亡太郎」といった日本名を提案し、「こうした名前に創氏するのは許可されるのか」と書いた葉書が送られた。 なお、済州島では同姓同名の不便のために創氏改名より前の大正時代に一部の半強制的な改名が存在したとされる。朝鮮総督府中枢院が1934年に出版した『朝鮮の姓名氏族に関する研究調査』には、「済州島に於ては大正年代、右の不便を除くべく、戸主の同姓同名の者は其里内を限りて、悉く諭して改名せしめし事ありたり。」との記述がある。
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