引退期・老年期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:12 UTC 版)
2007年(平成19年)から2009年(平成21年)にかけて、200万人以上と年齢人口の多い団塊の世代のサラリーマンが一斉に定年退職を迎えるため、社会に大きな影響をもたらす危険性が問題視され、2007年問題と呼ばれた。 大量退職によるマンパワー不足を回避するため、2006年4月に「改正高齢者雇用安定法」で、65歳までの継続雇用を促進する「高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため措置 」が施行された。これに併せて人材コストを抑えつつ技能を継承する目的で、多くの企業が継続雇用制度を導入することで団塊の世代を再雇用し、多数が就業または再就職している状態が続いた。 その結果、2006年(平成18年)では83万人いた60歳から64歳の労働者が、2009年(平成21年)には142万人にまで増え、さらに65歳以上の労働者も31万人から54万人にまで増加した。このような対策もあり、2007年問題は大きな問題とはならなかったが、その後団塊の世代が65歳に到達する2012年に同様の問題が起こると懸念され、2012年問題と呼ばれた。 2012年3月に、厚生労働省が公表した「平成23年度能力開発基本調査」では、団塊の世代の退職等により発生する技能継承に問題があるとする事業所は28.2%となった。技能継承の問題に対して取り組みを行っている事業所は78.0%となっていて、その取り組みの内容(複数回答)は、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、再雇用し、指導者として活用している」が61.2%と最も高く、次いで「中途採用を増やしている」(28.9%)となっていて、上位2項目は平成29年度の同調査においても割合こそ異なるものの上位2項目を堅持している。 彼らの蓄えた技術や能力、人脈を自社で生かすべく、団塊の世代の人材を獲得しようとする企業も現れている。しかし退職後は専門知識を生かし、技術指導者やシニア海外ボランティアとして海外の発展途上国で活躍する者も少なくない。特に、製造業の分野においては、日本のメーカーが培ってきた製造技術を伝授すべく、団塊の世代の退職エンジニアが中国や韓国、台湾の企業に再就職した者もいる。 団塊の世代の人口が多い分、年金を受給し始めると大きな負担となることが考えられたため、1990年代から年金問題は発生まで時限性を持った社会問題となり、たびたび改革案が提示された。結果的に給付額の削減と納付額の引き上げが行われ、厚生年金は60歳から受け取れるものの、基礎年金は63歳から65歳受給と、一部の支給開始時期が先送りされた。 円高傾向や、豊富な時間と資金力を生かして秘境や辺境、特殊なアトラクションを経験するツアーが人気になっているのも、この世代に見られる特徴である。
※この「引退期・老年期」の解説は、「団塊の世代」の解説の一部です。
「引退期・老年期」を含む「団塊の世代」の記事については、「団塊の世代」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書から引退期・老年期を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
全ての辞書から引退期・老年期を検索
- 引退期・老年期のページへのリンク