幸福の科学会員による法的措置
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「講談社フライデー事件」の記事における「幸福の科学会員による法的措置」の解説
講談社による反幸福の科学キャンペーンによって、幸福の科学の会員の心が傷つけられたとして、合計3000名近くの会員が、全国7か所の裁判所において、「宗教上の人格権(宗教的人格権)」侵害を根拠として掲げて次々に提訴した。幸福の科学側はこれを「精神的公害訴訟」と呼んで報道被害による風評被害の実態を告発した。 幸福の科学の首都圏在住の会員707名(「講談社フライデー全国被害者の会」会長・副会長だった景山民夫・小川知子を含む)が「悪意に満ちた記事で精神的苦痛を受けた」として講談社および『フライデー』編集長ら6名を相手に損害賠償を求め東京地裁に提訴(1991年9月25日) 訴状は『フライデー』『週刊現代』『月刊現代』などの幸福の科学の大川と幸福の科学を中傷する記事により、同会会員の「宗教上の人格権」が侵害されたなどとし、講談社・各誌編集長・記事の執筆者らに対し、会員1名あたり100万円(総額7億700万円)の賠償を求めるもの。 東京地裁(相良朋紀裁判長)は「間接的に自己の信仰生活の平穏が害されたに過ぎず、法的救済の対象にはなり得ない」として訴えを棄却(1993年5月21日)。 幸福の科学側は控訴したが、控訴審で東京高裁(加茂紀久男裁判長)は、景山・小川個人に対する名誉毀損を認めて講談社および執筆者の島田裕巳に計60万円(講談社が2名にそれぞれ25万円、島田が景山に10万円)の慰謝料の支払いを命じ、「会員の宗教的人格権が侵害された」との主張については控訴を棄却(1995年10月30日)。 上告審で最高裁第1小法廷(井嶋一友裁判長)は2審判決を支持し、双方の上告を棄却して(1999年3月25日)、景山・小川一部勝訴の東京高裁判決が確定した。 関西在住の幸福の科学会員739名は同様に、講談社および各誌編集長ら6名を相手に計7億3900万円の慰謝料支払いを求め大阪地裁に提訴(1991年10月4日) 訴状は上記の東京地裁への提訴と同様で、講談社側は「言論封じが目的であり訴え自体が不適法」として却下を求めた。 大阪地裁(武田多喜子裁判長)は、記事は「大川代表個人や教団の名誉などを侵害した可能性はある」としたものの、「宗教上の人格権」を「平穏な信仰生活を営む社会生活上・私生活上の人格的利益」として捉えつつ、「原告側の主張は、記事で単に宗教的感情が侵害されたというのに過ぎず、宗教的行為や信仰生活まで侵害されたとは言えない」「宗教上の感情自体は法的利益として認められない」として訴えを棄却(1993年2月26日)。 幸福の科学側はこれを不服として大阪高裁に控訴したが(1993年3月4日)、大阪高裁(野田殷稔裁判長)は一審判決を支持し控訴を棄却した(1994年10月18日)。 九州・沖縄の幸福の科学会員325名が同様に3億2500万円の損害賠償を求めて福岡地裁に提訴(1991年10月11日) 第一回口頭弁論では3名の会員が「記事で心を踏みじにられた」と述べ、講談社側が「批判的言動を封じるための提訴」「訴える権利の乱用」として却下を求めた(1992年1月28日)。 福岡地裁(石井宏治裁判長)は、「宗教上の人格権」の内容を「原告ら主張の内容の右宗教上の人格権は、静穏な宗教的環境の下で信仰生活を送る利益ととらえることができる」としたものの、「中傷したとされる対象は幸福の科学ないし大川で、原告ら個人ではない」として原告の請求を棄却した(1993年3月23日)。 控訴審で福岡高裁(鍋山健裁判長)は、一審判決を支持して原告側の控訴を棄却。裁判長は同様の訴訟を踏まえて記事の内容を詳細に分析し、「宗教批判の自由も保障されるべき」としつつ宗教報道の基準を明確に打ち出した上で、「フライデーなどの記事は反論の機会を与えず節度ある批判という原則を逸脱した疑いが強い」と原告側の主張に一定の理解を示したものの、原告の請求については「名誉棄損の可能性があるのは幸福の科学と大川であり、原告らの精神的苦痛は間接的なもの」として退けた。原告側はこれを「勝訴に近い画期的判決」であると評価、講談社側は「正当な司法判断」と述べた 中部五県の幸福の科学会員563名が同様に5億6300万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴(1991年10月18日) 第一回口頭弁論後には「講談社フライデー全国被害者の会」会長の景山民夫と副会長の小川知子が記者会見を開催(1992年2月21日)。 名古屋地裁(佐藤陽一裁判長)は「講談社などによる批判は、社会に許容された受忍限度を越えるものとは言えない」などとして原告の請求を棄却(1993年3月26日)。 控訴審で名古屋高裁(土田勇裁判長)は信者らの訴えを棄却(1993年12月24日)。 原告団はこれを不服として最高裁に上告した(1994年1月6日)。 北海道内の幸福の科学会員188名が同様に1億8千万円の損害賠償を求めて提訴(1991年11月15日) 一審は会員敗訴(1993年11月12日)、控訴審でも札幌高裁(清水悠爾裁判長)は「信者は直接の当事者ではなく、被害は認められない」として一審判決を支持し控訴を棄却(1994年12月15日) 青森・岩手・宮城・福島在住の幸福の科学会員177名が同様の損害賠償を求めて仙台地裁に提訴(1991年11月22日) 一審は請求を棄却。 控訴審で仙台高裁(武田平次郎裁判長)は一審判決を支持し「記事は幸福の科学や大川個人に向けられたもの。原告の利益を直接に侵害する行為とはいえない」「仮に記事が捏造であるにしても、大川への損害賠償以外に原告に対しても賠償しなければ償えない損害があるとはいえない」として原告側の控訴を棄却(1995年9月5日)。 四国在住の幸福の科学会員188名が同様の損害賠償を求めて徳島地裁に提訴(1991年11月29日)> 会員側敗訴の一審判決は、1993年8月までに出され、会員側は控訴した
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