平成23年東日本大震災災害派遣(JTF-TH)
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「災統合任務部隊」の記事における「平成23年東日本大震災災害派遣(JTF-TH)」の解説
「東日本大震災に対する自衛隊の対応」も参照 東日本大震災への災害派遣に際して編成された統合任務部隊は、自衛隊において初めての災統合任務部隊であり、最大規模の統合任務部隊となった。自衛隊は、2011年3月11日の発災日に大規模震災災害派遣を発令していたが、救援兵力増強のため災統合任務部隊の編成を行うこととした。3月14日の北澤俊美防衛大臣の命令(自行災命第6号)により、陸上自衛隊・東北方面総監(君塚栄治陸将)の指揮下に各方面隊・中央即応集団・自衛艦隊・航空総隊などから部隊が集められた。この部隊は、東北方面総監指揮下であったことから災統合任務部隊-東北(Joint Task Force-TOHOKU,JTF-TH)と呼称された。 JTF-THは、初めて三自衛隊が組み入れられたJTFであり、東北地方に災害派遣された各自衛隊の部隊は陸災部隊・海災部隊・空災部隊としてJTF-TH指揮下に入った。東北方面総監がJTF-TH指揮官となり、陸災部隊は東北方面総監が指揮を取り、海災部隊は横須賀地方総監、空災部隊は航空総隊司令官が指揮を取った。4月1日には、海空自衛隊の増援元部隊が追加されている。 JTF-THには、即応予備自衛官等も投入され、その規模は最大時約10万6,000名にもなった。これは自衛隊の現員数約23万人の半数近くにあたる。この規模の部隊が比較的短期間で編成できた背景には、同じく10万人規模の投入を見込んでいた首都直下地震への対処計画を下敷きにした可能性が推測されている。首都直下地震への対処に関する2010年の統合幕僚監部作成資料においては、「東京都23区で震度6弱以上又は東京都23区以外、神奈川県、埼玉県、千葉県において震6強以上の地震の発生を認めた場合、日本全国の各部隊は自動的に統合任務部隊編成準備を開始」するとされ、東部方面総監を災首都圏統合任務部隊指揮官とし、7日間で3自衛隊から10万人を投入する計画が示されていた。 JTF司令部は、東北方面総監部を増強して運用しており、増加幕僚として自衛隊各学校から教官等が派遣されている。司令部には統合運用のための'海災部隊連絡調整グループ'や'空災部隊連絡調整グループ'や、各部隊調整のため、統合航空統制・調整所、統合輸送調整所、統合通信調整所等が置かれた。さらに、アメリカ軍のトモダチ作戦との調整のため、日米調整所も設置され、アメリカ軍の統合地上構成部隊(Joint Force Land Component Command, JFLCC)前方司令部調整所と調整を実施した。 JTF-THは災害支援規模の縮小に伴い、7月1日に大臣命令(自行災命第11号)により解組している。これ以降の震災対応災害派遣は、東北方面隊をはじめとする各自衛隊ごとに実施された。 2012年11月に公表された防衛省による「東日本大震災への対応に関する教訓事項(最終とりまとめ)」では、全般的な統合運用は実施できたが、各種要領や計画の準備が必要であり、統合輸送統制所は有用なため早期設置を求めるとされた。宮城県の報告書においても、ヘリコプターの運用調整に関して、統合任務部隊編成により多くのヘリコプターを有していた自衛隊との調整窓口が一本化されたことは、有用であったと評価されている。 JTF-TH(大規模震災災害派遣)の指揮系統。2011年3月14日時点。 防衛大臣 災統合任務部隊指揮官 / 東北方面総監 陸上自衛隊 統合幕僚長 陸災部隊指揮官 / 東北方面総監 東北方面隊 増援部隊 海上自衛隊 海災部隊指揮官 / 横須賀地方総監 横須賀地方隊 増援部隊 航空自衛隊 空災部隊指揮官 / 航空総隊司令官 航空総隊 増援部隊 東北方面隊への増援部隊 北部方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊、システム通信団、警務隊、陸上自衛隊通信学校、陸上自衛隊需品学校、陸上自衛隊輸送学校 横須賀地方隊への増援部隊 自衛艦隊、呉地方隊、佐世保地方隊、舞鶴地方隊、大湊地方隊、教育航空集団、練習艦隊、システム通信隊群、海上自衛隊警務隊、海上自衛隊潜水医学実験隊、海上自衛隊幹部学校、海上自衛隊第2術科学校、海上自衛隊第3術科学校、海上自衛隊補給本部、自衛隊横須賀病院 航空総隊への増援部隊 航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団、航空システム通信隊、航空安全管理隊、航空警務隊、航空中央業務隊、航空機動衛生隊、航空自衛隊幹部学校、航空自衛隊補給本部、自衛隊岐阜病院 福島第一原子力発電所事故に対応するため、3月11日には原子力災害派遣命令が発令されていたが、3月17日の防衛大臣の命令(自行災命第8号)により統合運用がなされる原子力災派部隊が編成された。これはJTF-THとは別個の部隊であり、中央即応集団司令官を指揮官に、中央特殊武器防護隊のほか、海空の支援部隊を組み入れている。規模は、最大時で約440名。原子力災害派遣部隊は、東北方面総監と共同の指揮関係になる等の何度かの指揮系統変更を経て、12月26日に大臣命令により、終結している。 原子力災害派遣部隊の指揮系統。2011年3月17日時点。 防衛大臣 中央即応集団司令官 陸上自衛隊 統合幕僚長 中央即応集団 増援部隊 海上自衛隊 支援部隊 航空自衛隊 支援部隊
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平成23年東日本大震災災害派遣(JTF-TH)
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「統合任務部隊 (自衛隊)」の記事における「平成23年東日本大震災災害派遣(JTF-TH)」の解説
「東日本大震災に対する自衛隊の対応」も参照 自衛隊において、最大規模のJTFとなったのが、東日本大震災への災害派遣に際して編成された"災統合任務部隊"である。3月14日の防衛大臣の命令により、東北方面総監(君塚栄治陸将)の指揮下に各方面隊・中央即応集団・自衛艦隊・航空総隊などから部隊が集められた。東北方面総監がJTF-TH指揮官となったため、これは災統合任務部隊-東北(Joint Task Force-TOHOKU,JTF-TH)と呼ばれた。初の三自衛隊が組み入れられたJTFであり、災害派遣された各自衛隊の部隊は陸災部隊・海災部隊・空災部隊としてJTF-TH指揮下に入った。陸災部隊は東北方面総監、海災部隊は横須賀地方総監、空災部隊は航空総隊司令官が指揮を取った。JTF-THは災害支援規模の縮小に伴い、7月1日の大臣命令により、解組している。 また、福島第一原子力発電所事故の原子力災害派遣に際して、3月17日の防衛大臣の命令(自行災命第8号)により、統合運用がなされる原子力災派部隊が編成されている。これはJTF-THとは別個の部隊であり、中央即応集団司令官を指揮官とし、中央特殊武器防護隊に海空の支援部隊を組み入れている。この部隊は、何度かの指揮系統変更を経て、12月26日に大臣命令により、終結している。 JTF-TH(大規模震災災害派遣)の指揮系統。2011年3月14日時点。 防衛大臣 災統合任務部隊指揮官 / 東北方面総監 陸上自衛隊 統合幕僚長 陸災部隊指揮官 / 東北方面総監 東北方面隊 増援部隊 海上自衛隊 海災部隊指揮官 / 横須賀地方総監 横須賀地方隊 増援部隊 航空自衛隊 空災部隊指揮官 / 航空総隊司令官 航空総隊 増援部隊
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