平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について(22大綱)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 09:00 UTC 版)
「防衛計画の大綱」の記事における「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について(22大綱)」の解説
2009年(平成21年)、政権与党の自由民主党が、核実験や弾道ミサイル発射実験を行う北朝鮮、航空母艦建造を行っている軍拡著しい中華人民共和国、軍事力が復調傾向にあるロシアや、増加する国際平和協力任務に、現状の軍縮体制では対応しきれないとして、「平成22年度以降に係る防衛計画の大綱」についての提言案を政府に提出した。提言案には、防衛費縮減の撤回、陸上総隊の新設、武器輸出三原則の見直し、集団的自衛権の解釈変更などが盛り込まれていたが、同年8月の第45回衆議院議員総選挙において自民党が大敗し、民主党政権が誕生した事により頓挫した。 新政権発足当初の2009年(平成21年)9月、鳩山由紀夫内閣は防衛大綱の改訂作業に積極姿勢を示し、年内の改定を目指して防衛省内で作業が始まったが、わずか3週間後の同年10月9日に改訂を翌年末まで1年先送りすると発表し同月16日に正式決定した。 2010年(平成22年)2月18日、鳩山首相は自身が主催する「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の初会合において、新防衛大綱の策定に関し「タブーのない議論をしてほしい」と要望した。北沢防衛相は懇談会において「装備産業の基盤整備をどう図るか議論してほしい」と武器輸出三原則の見直しを要望したことを明らかにし、これが新防衛大綱に反映される予定だったが、同年6月に普天間基地移設問題等の不手際により鳩山由紀夫内閣が瓦解し、継いだ菅第1次改造内閣も同年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件等での不手際から支持率が急落し、社民党の協力なしには国会運営が不可能になると、社民党に配慮して武器輸出三原則の見直しの防衛大綱への記述は見送られることになった。 2010年(平成22年)12月17日に安全保障会議ならびに閣議で新大綱が決定し、旧大綱は同年度限りで廃止されることになった。新大綱では、従来の日本列島に均等に防衛力を配備する冷戦型の「基盤的防衛力」の方針が廃止され、新たに南西諸島方面への中国人民解放軍海軍の進出や北朝鮮の弾道ミサイル、国際テロリズムに機動的・実効的に対応できるよう「動的防衛力」の方針が打ち出された。また、武器輸出三原則の見直しの記述の見送りに加えて、自民党提言案にあった陸上総隊の新設と集団的自衛権の解釈変更の記述も見送られた。武器輸出三原則については、2011年(平成23年)12月27日に行われた藤村修官房長官による談話によって緩和された。 2012年(平成24年)12月の第46回衆議院議員総選挙にて民主党は敗北。代わって政権の座に就いた自民党の安倍内閣は、2013年(平成25年)1月25日に、現行の防衛計画の大綱の凍結と、現行の中期防衛力整備計画の廃止を決定し、これに変わる新大網の策定を目指すこととなった。
※この「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について(22大綱)」の解説は、「防衛計画の大綱」の解説の一部です。
「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について(22大綱)」を含む「防衛計画の大綱」の記事については、「防衛計画の大綱」の概要を参照ください。
- 平成23年度以降に係る防衛計画の大綱についてのページへのリンク