工作・犯罪関連者の検挙と指名手配
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 14:04 UTC 版)
「九州南西海域工作船事件」の記事における「工作・犯罪関連者の検挙と指名手配」の解説
捜査の結果、この事件で沈没した工作船は、3年前の1998年に南西諸島沖の東シナ海で日本の暴力団に覚醒剤を売り渡していた船だったことが余罪として発覚した。この工作船から覚醒剤を受け取った暴力団員らは、後日高知県窪川町の海岸に覚醒剤の陸揚げを謀った「高知県沖覚醒剤密輸事件」を引き起こし、検挙された[要出典]。 押収された遺留品は、日本国内用の携帯電話(J-PHONEプリペイド式携帯電話「J-T03」)、GPSプロッター、ポケコン、トランシーバー、アイコムのオールモードアマチュア無線機(以上は日本製)、鹿児島県枕崎市沿岸の詳細な地図、金日成バッジなどであった[要出典]。 当時は、携帯電話の契約者の身元を確認するシステムが甘く、契約者の特定には至らなかったが、岐阜県内の販売店で購入されたものであった。そのメモリーには、日本国内にある反社会的勢力(指定暴力団)の密接交際者で、身分を偽るため在日本大韓民国民団に偽装在籍していた特別永住者の在日韓国人男性「U」との数十回におよぶ通話記録が残っていた[要出典]。 北朝鮮工作機関による犯罪の多くは、日韓併合の歴史的経緯により日本で生まれ育った「土台人」と呼ばれる特別永住者の人脈を利用して行われたとされる。元公安調査庁長官が退官後に報道機関に明らかにした談話によれば、暴力団やフロント企業などの反社会的勢力の内部には、すでに土台人の人脈が張り巡らされ、対日有害活動が行われていると言われている[要出典]。 この事件がきっかけで疑惑の人となった「U」は、無職者であるにもかかわらず、出処不明の大金をつかんで高級クラブ通いやゴルフ会員権取得などの豪遊を繰り返していたが、公安警察が身辺を洗い出していくうちに、密接交際者として敢行した様々な犯罪への関与が明白となった。2004年に、ついに「U」は2001年に窃盗犯から8台の盗難車を購入し、北朝鮮に不正輸出しようとした罪で逮捕された。 さらに「U」は、日朝首脳会談が行われ、拉致被害者5人が帰国を果たした直後の2002年10月に「ツルボン1号事件」を起こした疑いでも逮捕されている。この事件は、「松山眞一」ことチョ・ギュワ会長が率いる「極東会」および、「牧野国泰」ことイ・チュンソン会長が率いる「松葉会」に属していた暴力団幹部2人(被告「F」、「M」の両名)と「U」が結託し、日本人の漁師を脅迫して取り上げた漁船を使い、鳥取県沖の海上で北朝鮮からやってきた貨物船「ツルボン1号」と会合し、230kgもの覚醒剤を密輸した罪が発覚し、公安警察に再逮捕されたものである。 北朝鮮の工作船は、漁船を偽装するものと決まっていたが、「ツルボン1号」の件を見る限り、貨物船が転用される場合もあるものと見られた。被告は「F」を除き容疑を否認。「ツルボン1号事件」の一審では、「F」の自白が全面的に認められ、「U」と「M」に無期懲役判決が下されたが、一転して第二審となる高裁では「F」の自白について、「警察による『F』への誘導尋問や誤導尋問が招いた虚偽の自白」であると認定され、一審判決を破棄し「U」と「M」に無罪を言い渡した。 なお「F」は一審の公判中に癌を患い、勾留停止となって入院したところを警察の失態から病院から脱走し、逃走から約1ヵ月後に癌で病死した状態で発見された。 現在警察庁では、朝鮮学校元校長の曹奎聖(チョウ・キュウソン、通名:夏川奎聖、異名:ソーケイセイ)をインターポールに国際手配している。警視庁および山口県警の発表によると、曹は2000年、北朝鮮の元山(ウォンサン)において覚醒剤およそ250kgを仕入れ、船籍不詳の不審船を使って島根県の海岸から密輸入した疑いがもたれている[要出典]。
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