寄席芸人伝とは? わかりやすく解説

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寄席芸人伝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/16 01:59 UTC 版)

寄席芸人伝』(よせげいにんでん)は、古谷三敏による日本漫画。漫画雑誌ビッグコミック』(小学館)において、1978年昭和53年)から1989年平成元年)まで連載された[1]。全153話[2]明治大正昭和の各時代を舞台とし[3]、各話ごとに架空の落語家、もしくは落語の関係者を主人公として、主に寄席にまつわる人々のエピソードを描く。基本的に1話完結のオムニバス形式であり[注 1]、全話に共通した主要登場人物や物語は存在しない[注 2]


注釈

  1. ^ 単行本第8巻収録の第106話「質入れ遊喬」など、1話が「前編・後編」構成になっているエピソードもいくつかある。
  2. ^ 同一の人物が複数話に登場するケース自体は存在する。例として、単行本第3巻収録の第33話「若手潰しの満橘」では、落語家の三遊亭満橘が主役であり、脇役として五厘の市之助が登場するが、同巻の第37話「五厘の市之助」ではその市之助を主役、満橘を脇役として、市之助の前日談が語られる。
  3. ^ あべ 善太(あべぜんた、? - 1999年〈平成11年〉3月14日)。神奈川県出身の漫画原作者。他に原作を担当した漫画に『味いちもんめ』があり、1999年に同作で第44回小学館漫画賞を受賞した[8][9]
  4. ^ 一方で立川談之助は「ビッグコミックの企画先行で制作されたらしい」と語っている[23]
  5. ^ 矢島 裕紀彦(やじま ゆきひこ、1957年〈昭和32年〉 - )。東京都出身の作家。早稲田大学政治経済学部卒業。旺文社の『現代日本人物事典』などの編集を経て、文筆に専念している[30]
  6. ^ もっとも立川談之助は、「2ちゃんねるで評判が良いということは、世間一般的に見れば罵倒に値する」と指摘している[23]
  7. ^ 具体的には、扉絵を実際の落語家と比較すると、槍の演じ方が異なる、手拭の畳み方が異なる、この時代に高座にあったはずの火鉢が無い、話に入ると羽織を脱ぐはずなのに着たまま、といった具合に、扉絵の時点で4点もの誤りが指摘されている[23]
  8. ^ しかし#制作背景にも述べたように、古谷自身は落語を好んで聞いていたと語っており[6]、自著『落語うんちく高座 実録・寄席芸人伝』でも、寄席に足を運んだり、落語を聞いたりした体験を語っている[36]

各回における注釈

  1. ^ ルビは原作に記載のとおり
  2. ^ 亭号不明の場合は()内に師匠の亭号を、それも不明な場合は(?)と記載
  3. ^ 話のオチまで記載すると著作権に抵触するため、途中までの内容を記載
  4. ^ 現実では、「お釜さま」を初代柳家小せんが「鼠の懸賞」に改作し、それをさらに3代目三遊亭金馬が改作して今の形となった
  5. ^ 現実では三遊亭萬橘(初代)が真っ赤な衣装揃えで踊っており、ヘラヘラの萬橘と呼ばれていた
  6. ^ 原文ではイロの上に傍点
  7. ^ 若い男女のなれそめの噺で、年を取ってからだと若干いやらしさを感じさせる
  8. ^ 現実では遊三ではなく2代目圓遊で同様のことがあったと噂されている
  9. ^ 師匠が1日1回を3日語るので、それだけでマスターしなければならない、ということ
  10. ^ 現実では、2代目を除く3名が若くして急死していることから出世名ではなく、現在も空き名跡となっている
  11. ^ 現実ではそこまでの大看板ではなく、5代目以外は改名している
  12. ^ 昔は1日を12に分けたので、2×6=12で一日中のことを二六時と言った
  13. ^ 現実では、野村無名庵がまとめた「落語通談」に「魂違い」「水中の球」「おうむ徳利」という名前がみられる
  14. ^ 現実の船徳は、初代 三遊亭圓遊の作で、文中では「一時の物」と批判されていたステテコ踊りの演者でもある

出典

  1. ^ a b c "ビッグコミック 寄席芸人伝". メディア芸術データベース. 文化庁. 2019年6月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月16日閲覧
  2. ^ a b 中野翠 (2010年3月20日). "落語にはその人ごとの「聴きどき」がある". プレジデントオンライン. プレジデント社. p. 3. 2018年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  3. ^ 永倉万治小説寄席芸人伝小学館〈BIG NOVELS〉、1984年6月20日、カバー頁。全国書誌番号:85004782 
  4. ^ 南信長現代マンガの冒険者たち 大友克洋からオノ・ナツメまでNTT出版、2008年5月21日、162頁。ISBN 978-4-7571-4177-3https://books.google.com/books?id=mFea8Oe54yUC&pg=PA1622023年6月20日閲覧 
  5. ^ 喜多由浩 (2017年2月17日). "うたかたの宝石箱 満州文化物語 引き揚げ者の苦悩". 産経新聞 (東京朝刊 ed.). 産業経済新聞社. p. 7. 2019年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  6. ^ a b c d e 古谷三敏(インタビュアー:矢島裕紀彦)「古谷三敏さん(漫画家)「作品には自負があります。誰もやっていないテーマを、先んじて手がけてきました」【 サライ・インタビュー】」『サライ.jp - 小学館の雑誌『サライ』公式サイト』、小学館、2019年2月19日https://serai.jp/hobby/3496112023年6月20日閲覧 
    『サライ』2019年2月号, pp. 18–21, 矢島裕紀彦「インタビュー 古谷三敏」
  7. ^ a b c d e f g h i j 『サライ』2019年2月号, pp. 58–59, 矢島裕紀彦、和田尚久「別冊付録解説 古谷三敏『寄席芸人伝 昭和の名人特別編』を読む」
  8. ^ 日外アソシエーツ編集部他 編『漫画家人名事典』日外アソシエーツ、2003年2月25日、20-21頁。ISBN 978-4-8169-1760-8 
  9. ^ "小学館漫画賞 歴代受賞作品". 小学館漫画賞. 小学館. 2019年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  10. ^ a b c 齋藤 1982, p. 303.
  11. ^ a b c d e f g h いしかわ 2011, p. 123.
  12. ^ a b c d e f g h 中野晴行 (2009年12月3日). “寄席全盛期の芸人たちの姿に仕事に取り組むものの心意気を読む”. 漫画大目録. イーブックイニシアティブジャパン. 2012年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月8日閲覧。
  13. ^ "失われた日本、「寄席芸人伝」". まんだらけ札幌店. まんだらけ. 2011年12月24日. 2019年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  14. ^ a b c 糸井重里 (2012年4月14日). "マンガでドミノ". ほぼ日刊イトイ新聞. 2018年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  15. ^ a b キネマ旬報 1981, p. 210.
  16. ^ a b c d e 紙屋高雪. "古谷三敏『寄席芸人伝』". 紙屋研究所. 2018年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  17. ^ a b 大橋 1994, p. 265.
  18. ^ "Time Machine Cafe". ZIP-FM77.8. 2005年8月23日. 2018年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月1日閲覧
  19. ^ ドラマ「BARレモン・ハート」公式 [@lemon_bsfuji] (2016年6月12日). "「寄席芸人伝」という漫画も書かれていた古谷三敏先生。落語の世界にも造詣が深いのです。" (短文投稿). X(旧Twitter)より2023年6月20日閲覧
  20. ^ "医学書 ブックレビュー No.191 BARレモン・ハート(23)". 社会医療法人生長会/阪南市民病院. 2012年10月29日. 2019年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  21. ^ 齋藤孝「マンガ流! 大人の作法 自分のスタイルを作る「化け方」」『週刊ポスト』第35巻第36号、小学館、2003年8月29日、130頁、NCID AN1045581X 
  22. ^ a b c 里見 2017, p. 58.
  23. ^ a b c d e f g h と学会 2006, pp. 132–136.
  24. ^ a b 曽根 1992, pp. 115–116.
  25. ^ "声の図書目録". 点字出版所. 東京ヘレン・ケラー協会. 2017年5月12日. 2019年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月1日閲覧
  26. ^ a b c 齋藤孝 (2012年4月10日). "屋根の上のマンガ読み". イーブックイニシアティブジャパン. 2018年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月1日閲覧
  27. ^ a b c d e f 紙屋高雪 (2011年12月4日). "【私のハマった3冊】興味がなかった人でも楽しめる知的でツヤのある落語漫画". 週刊アスキー. 角川アスキー総合研究所. 2018年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
    紙屋高雪「興味がなかった人でも楽しめる知的でツヤのある落語漫画」『週刊アスキー』第850号、KADOKAWA、2011年9月27日、151頁、NCID AA1142198X 10月11日号。
  28. ^ 伊藤賀一 [@itougaichi] (2011年5月14日). "『月例 寄席芸人伝』(古谷三敏・脚本協力あべ善太、小学館)という、僕が少年時代ビッグコミックで連載していた漫画がリバイバルヒット中。講師など芸事を仕事にしているなら読むべきものの一つかと。" (短文投稿). X(旧Twitter)より2023年6月20日閲覧
  29. ^ 立川談修 [@tatekawadansyu] (2017年6月30日). "『昭和元禄落語心中』を読んで落語の世界に興味を持った漫画好きの貴兄には、ぜひ古谷三敏著『寄席芸人伝』という漫画も読んでもらいたい。 30年以上前の作品だけど、今でも読む手立てはあると思う。一話完結で読みやすいし。" (短文投稿). X(旧Twitter)より2023年6月20日閲覧
  30. ^ "2013年8月11日のゲストは矢島裕紀彦さん(ノンフィクション作家)". 浜美枝のいつかあなたと. 文化放送. 2019年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月20日閲覧
  31. ^ 鈴木博志「札幌出身の春風亭べん橋 瀧川鯉橋 真打ち昇進の会に出演へ 札幌、千歳 身長に見合う大きな落語家に」『北海道新聞北海道新聞社、2012年7月9日、全道夕刊、6面。
  32. ^ 林家たい平林家たい平 特選まくら集竹書房〈竹書房文庫〉、2016年12月15日、60頁。ISBN 978-4-8019-0941-0https://books.google.com/books?id=N7SnDQAAQBAJ&pg=PAPT392023年6月20日閲覧 
  33. ^ 菅野朋哉「危機的状況の中で当事者に全くその意識がない寄席の静かなる黄昏」『朝日ジャーナル』第28巻第27号、朝日新聞社、1986年6月27日、40頁、NCID AN00376670 
  34. ^ 「私と信仰 マンガ家 古谷三敏さん(1) お釈迦様の顔」『産経新聞』、1995年11月27日、東京夕刊、7面。
  35. ^ 文藝春秋 編『文芸春秋漫画賞の47年』文藝春秋、2002年12月10日、322頁。ISBN 978-4-16-321510-5 
  36. ^ 古谷 1984, p. 40,268-269.


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