家庭用ゲーム機における体験版
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 14:53 UTC 版)
「体験版」の記事における「家庭用ゲーム機における体験版」の解説
1980年代頃までは製造コストのかかるロムカセット方式のハードウェアが主流であったため、カセット自体の単価が高く、これを体験版用のソフトウェアメディアとすることは現実的ではなかった。このためゲーム販売店の店頭やイベントでの先行製造版によるデモプレイやロケテストが主で、個人向けに体験版の配布が行われることはほとんどなかった。 1990年代に入り、ソフトウェアの記録メディアにCD-ROMを採用するハードウェア(PCエンジン・メガCD・プレイステーション・セガサターンなど)が普及してくると、その製造コストの低さと大容量を生かし、積極的に体験版が配布されるようになった。いち早くCD-ROMを導入したPCエンジンでは『天外魔境II 卍MARU』と『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』を収録した『スーパーCD-ROM2体験ソフト集』が1991年12月13日に1,000円で、『スナッチャー』を収録した『スナッチャー PilotDisk』(8cmCD)が1992年8月7日に1,500円で一般のゲーム販売店を通して販売されている。また、任天堂がスーパーファミコン向けのサテラビューを用いて、メディアを伴わないデータのみの体験版を配布したことがあったものの、衛星放送に加入している必要があるなど、データ配信を受信するシステム自体が高価で導入のハードルが高く、普及は進まなかった。 これ以降では、店頭やゲームイベントでの自由配布のほか、雑誌の付録として体験版ディスクが封入されるというケースが一般的だったが、旧スクウェア(現スクウェア・エニックス)は開発中の大型タイトルの体験版を新作ゲームソフトにバンドルする手法を取り入れた。『ファイナルファンタジーVII』の体験版が付属した『トバルNo.1』、『ファイナルファンタジーVIII』の体験版が付属した『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』などがヒット作として挙げられるが、これらはソフト本体が体験版のおまけのような扱いをされてしまった。また、市場が活況であったPS・SS全盛期には大量の体験版が配布されたが、中にはクオリティが一定レベルに達していなかったため、予約を大幅にキャンセルされてしまった『RONDE -輪舞曲-』のようなケースも散見された。 2000年代以降、携帯ゲーム機の内蔵メモリの容量増加により、店頭やイベント会場においてゲーム機への一時的な体験版のダウンロードを行えるようになった。ゲームボーイアドバンス向けの月刊任天堂店頭デモがその先駆けであるが、2004年末以降は無線LANを搭載した携帯ゲーム機(ニンテンドーDS、PlayStation Portable)向けに店頭端末を用いて体験版を配布するサービスが行われている(→DSステーション、PlayStation Spot)。なお、PlayStation Portableについてはインターネットに接続できさえすれば場所に関係なく体験版をダウンロードすることもできる。 さらに、2005年以降はインターネット接続機能がある据置型ゲーム機(Xbox 360、PlayStation 3、Wii)によって、家庭から体験版をダウンロードできるサービスが行われている(Xbox Live、PlayStation Store、Wiiショッピングチャンネル)。ニンテンドー3DSではニンテンドーeショップでダウンロードした体験版のセーブデータを製品版に引き継げるソフトも存在する。 また、公式ホームページに「Web体験版」が用意されるタイトルもある。これはAdobe FlashやAdobe Shockwaveなどを使って擬似的にゲーム内容をブラウザ上で再現したもので、ニンテンドーDSのパズルゲームやアドベンチャーゲームなどマウスのみで操作でき、比較的内容を再現しやすいものに多く見られる(『逆転裁判』、『タイムホロウ』、『もじぴったん』、『ミブリー&テブリー』など)。
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