うちゅう‐の‐ちへいめん〔ウチウ‐〕【宇宙の地平面】
読み方:うちゅうのちへいめん
観測可能な宇宙
![]() | |
直径 | 8.8×1026 m or 880 Ym (28.5 Gパーセク or 930億光年)[1] |
---|---|
体積 | 3.566×1080 m3[2] |
重さ | 1.5×1053 kg[注釈 1] |
密度 | 9.9×10−27 kg/m3 (1立方m内に6個の陽子が存在するのに等しい)[3] |
年齢 | 137.87±0.20 億年[4] |
平均温度 | 2.72548±0.00057 K[5] |
中身 |

ビッグバン宇宙論でいう観測可能な宇宙(かんそくかのうなうちゅう、observable universe)とは、中心にいる観測者が領域内の物体を十分に観測できるほど小さい、つまり、ビッグバン以後のどの時点でその物体から放出された信号であっても、それが光速で進んで、現在の観測者のもとに届くまでに十分な時間があるような球状の空間領域である。宇宙のどの場所にもその場所にとっての観測可能な宇宙があり、それは地球を中心とするものと重なる部分も重ならない部分もある。
概説
「観測可能」ということは、現代の技術でこの領域内の物体から放射されたエネルギーが検出できるかどうかとは無関係であり、その物体からの光やその他の放射エネルギーが地球上の観測者のもとに到達することが原理上可能だという意味である。実際に観察できるのは、宇宙が晴れ上がった「最終散乱面」にある物体までである。晴れ上がる前の宇宙は、光子に対して不透明であった。しかしながら、重力波(やはり光速で移動している)の検出によって、それ以前の情報を推定することもできないわけではない。重力波はインフレーション時代の遅くとも後期から発生しており、それによって数兆光年・あるいはそれ以上の遠方の宇宙を観測できる可能性がある(もちろんインフレーション時代の宇宙の姿の観測となる)。
観測可能な宇宙と全宇宙

科学者から観測された事実として頻繁に発表・公表される宇宙の具体的な観測値は、あくまで観測可能な宇宙に関するものに限られている。
だが現代宇宙論の構築、宇宙のインフレーションなどの信頼できる多くの理論の説明では、観測可能な宇宙の外側に広がる広大な宇宙を含む、より巨大な全宇宙に関する考察が必要になる。
全宇宙が観測可能な宇宙よりも「小さい」ということも、もちろん可能である。その場合、非常に遠くにあるように見える銀河が、実は近くにある銀河の光が宇宙を一周してくることによって生じた複製像だということもあり得る。この仮説を実験によってテストするのは、銀河の異なる像がその一生の異なる時代を指すこともあり、結果としてまったく違うということにもなりかねないため、困難である。2004年のある論文[8]では、全宇宙の直径は、24ギガパーセク(780億光年)が下限であると主張されており、その場合、観測可能な宇宙より少しだけ小さいということになる。この値はWMAPの観測をマッチング・サークル分析したものに基づいている。
仮に観測不可能な宇宙を含めた全宇宙が有限で閉じているとしても、観測可能な宇宙の範囲内では、曲率は無視できるほど小さいことから、宇宙全体の大きさは、光年単位を用いても「兆」などの日常的な数の尺度、あるいは命数法レベルの数の尺度ではなく、指数での表現が必要な大きさ、それもA×10Bといった単純な仮数指数表記ではなく、指数の上に指数を重ねた指数タワーでの表現が必要な大きさである。レオナルド・サスキンドは宇宙の直径を
宇宙の地平面 (宇宙の地平線)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 01:38 UTC 版)
「事象の地平面」の記事における「宇宙の地平面 (宇宙の地平線)」の解説
宇宙の地平面とは観測可能なもっとも遠い宇宙の空間あるいは宇宙の時空であり、観測上の「宇宙の果て」である。一般的に宇宙は膨張していると考えられており、距離が離れているほど地球からの後退速度(宇宙論的固有距離の変化量を宇宙時間で微分した値)が速く、ある距離(ハッブル距離)以上は光速以上の速さで離れる。地球に向かう光が常に光速以上で遠ざかる空間にとどまるという条件下では、その光は地球には永遠に届かない。このとき光が届く限界の時空面を宇宙の事象的地平面という。事象的地平面は我々が観測できる個々の天体がどの時代の姿まで観測できるかを示している。 現在観測される天体のなかには、光速を超えて地球から遠ざかっているものも存在する。このような天体が観測できるのは、天体から放たれた光が光速以上で遠ざかる空間から抜け出て次第に地球からの後退速度が緩やかな空間に入るからであり、「地球から光速で遠ざかる空間=宇宙の地平面」ではない。赤方偏移Zの値が1.7程度の天体は、今地球で観測される光を放ったときちょうど光速で遠ざかっていたので、これよりも赤方偏移の大きな天体は超光速で地球から遠ざかっていたことになる。そのような天体はすでに1000個程度観測されている。 また、現在地球から観測できる最も古い光が放たれた場所の、現在の位置を光子の粒子的地平面という。現在の光子の粒子的地平面は地球を中心とする半径約450億光年の球の表面となり、この球面の半径は光速の約3.5倍の速さで大きくなり、我々が今観測している光を放ったとき(宇宙の晴れ上がり)には光速の約60倍もの速度で遠ざかっていた。光子以外の粒子による粒子的地平面は光子のそれよりも遠く伸びる場合がある。たとえばニュートリノによる粒子的地平面は光子の粒子的地平面よりも大きいと考えられる。なぜなら光は直進できるようになるまで「宇宙の晴れ上がり」を待たねばならなかったが、ニュートリノはそれ以前に直進していると考えられるからだ。 また、私たちの属する宇宙は光子を含む電磁波の観測によって関与できる空間の限界を示す光子の粒子的地平面を超えて、はるかに広大に広がっていると考えられている。 「ビッグバン#地平線問題」も参照
※この「宇宙の地平面 (宇宙の地平線)」の解説は、「事象の地平面」の解説の一部です。
「宇宙の地平面 (宇宙の地平線)」を含む「事象の地平面」の記事については、「事象の地平面」の概要を参照ください。
- 宇宙の地平面のページへのリンク