姫路への撤退とは? わかりやすく解説

姫路への撤退

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 05:34 UTC 版)

中国大返し」の記事における「姫路への撤退」の解説

中国大返し」における姫路までの行軍実態はよくわかっていない部分も多いが、経路山陽道野殿岡山市北区)を経由するルートがとられたものと考えられる。 このルートについて湯浅常山著書常山紀談』巻の五によると、宇喜多明智光秀通じており、長臣老将面々が「秀吉帰路を塞ぐべきや、如何せん」「さらば城中にて討取るべし。願う処の幸なり」と相議して秀吉を討取ろうとしていたが、秀吉は、6月7日明け方備中高松から岡山に行くと嘘の情報流して宇喜多欺き、「奥州驪おうしゅうぐろ)という名馬乗り雑卒交じり吉井川渡り片上備前市)を過ぎ、宇根兵庫県赤穂市有年)に馳せ著けたれば馬疲れたり」としており、野殿沼城立寄ったとは書かれておらず、逆に取られるのを恐れたのか、宇喜多勢力圏内から逃げ帰るように播磨まで駆け抜けたとしている。『梅林寺文書』では五日には野殿に在陣していたとある。 秀吉軍が備中高松城の陣を引き払って撤退し備前沼城岡山市東区)へ向かって中国大返し」を開始したのは、清水宗治自刃見送ってすぐの6月4日午後 とする見解と、高柳光寿池享藤田達生らをはじめとした6月6日とする説が存在する谷口克広また、浅野文書』や大村由己『惟任謀反記』などより6月6日未刻(午後2時頃)としている。 藤田によれば5日のうちは毛利方の出方見極め6日には水攻め用いた堤防切って高松城包囲の陣を解いたのちの出発ということになる。この場合堤防南端を切ることで足守川下流一帯泥沼の状態となれば、万一毛利氏追撃決して、それを行動移したとしても、全軍移動するのには相当の時間がかかるだろうという計算もみえる。谷口もやはり毛利軍出方警戒して2日高松滞陣したとしており、その上で萩藩閥閲録』を根拠毛利軍高松の陣を払って引き上げたのを確認してから出発した述べている。 6月5日秀吉摂津茨木城大阪府茨木市)の城主明智光秀に近い中川清秀に対して返書送っている。それによれば野殿貴下書状読んだが、成り行き任せ5日のうちには沼城まで行く予定であると記しており、同時にただ今京都より下った者の確かなによれば上様ならびに殿様いづれも御別儀なく御切り抜けなされ候。膳所が崎へ御退きなされ候。 と述べている。つまり、上様信長)も殿様信忠)も無事に難を切り抜け近江膳所滋賀県大津市)まで逃れているということであり、続けて福富平左衛門比類ない働きをした、めでたい、自分早く帰城すると記している。 これは、明らかな虚偽情報であったこの手紙が高松の陣で書かれたのか、野殿書かれたのかは不明であるが、本能寺の変に伴う清秀動揺疑心暗鬼を、偽情報流してでも鎮めようとしたものと考えられる秀吉は既にこの時点で、情報操作によって少なくとも清秀光秀加担しないよう気を配り、事を自らの有利に運ぼう画策したことが覗われる。 岡山城東方立地する沼城は、その姿から亀山城とも呼ばれ岡山城本拠を移すまで宇喜多直家居城であり、嫡男・秀家の生まれたであった高松城から沼城までの距離はおよそ22キロメートルあり、重装備での行軍となった6月6日未刻に高松発したとする場合沼城への入城その日のうちのことであると思われる4日高松出発した説に従えば4日夜は、野殿過ぎたところで野営行ったとみられ、沼城へは翌6月5日昼過ぎ到着して数時間ここで休憩をとり、宇喜多勢をここに残して秀吉本拠地播磨国姫路城兵庫県姫路市)へと向かったとされている。 毛利氏絶好の上洛の機会捨てて高松の陣を引き上げてしまったのは何故かということに関しては、谷口が『萩藩閥閲録』に「謀反した者は津田信澄明智光秀柴田勝家」と記されていることに着目し、もしこの情報通りであると毛利方が受け止めたなら、仮に秀吉軍を破って明智柴田大軍対峙しながら入京するのは困難だ判断したではないか論じている。

※この「姫路への撤退」の解説は、「中国大返し」の解説の一部です。
「姫路への撤退」を含む「中国大返し」の記事については、「中国大返し」の概要を参照ください。

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