大統領経験者への礼遇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 01:01 UTC 版)
「大統領 (大韓民国)」の記事における「大統領経験者への礼遇」の解説
大統領職退任後、大統領経験者は「元大統領の礼遇に関する法律」(전직대통령 예우에 관한 법률)に基づいて国家から特別の待遇を受けることになっている。大統領経験者の身分及び礼遇に関する規定は当初憲法上に存在しなかったが、第五共和国憲法(1980年採択)で初めて導入され(第61条)、現行の第六共和国憲法へと受け継がれた(第85条)。 「元大統領の礼遇に関する法律」は、大韓民国政府樹立後の元大統領とその遺族を対象とし、第三共和国体制(朴正煕政権)時代の1969年1月22日に公布・施行され、2017年3月21日の一部条文改正で現行の法規定となった。同法を根拠として、2019年7月末時点で大統領職経験者は下記の礼遇を受けられる。 本人・遺族に対する一定期間の身辺警護・警備 在任中の報酬年額の95%にあたる額の年金(元大統領本人に対し) 在任中の報酬年額の70%にあたる額の遺族年金(元大統領の死後、配偶者に対し) 秘書3人、運転手1人(元大統領本人に対し) 秘書1人、運転手1人(元大統領の死後、配偶者に対し) 本人と遺族に対する交通・通信・事務所提供等の支援 本人とその家族に対する医療 本人の墓地の管理にかかる人員・費用の支援(死亡した元大統領が国立墓地に埋葬されていない場合のみ) 民間団体が推進する元大統領の記念事業に対する支援 ただし、大統領経験者の年金・遺族年金を支給される者は、他の法律に基づく年金を支給されず、かつ公務員に就任すると退任するまで大統領の年金・遺族年金の支給が停止される。 なお、元大統領が次の項目のいずれかに該当する場合、本人・遺族に対する一定期間の身辺警護・警備を除く大部分の礼遇が失われる. 大統領警護処による身辺警護と私邸経費を通常任期満了による退職の場合、退任日から10年(前職大統領本人が希望する場合は延長可能)間受け取ることができ、いかなる理由であれ任期満了前に在任期の全てを果たせず正常失職できなかった場合、退職日から5年(前職大統領本人が希望する場合は延長可能)間受け取ることができる。原則として、大統領警護処による礼遇期限が満了すれば、礼遇主体は警察庁に変更され、警察庁長の判断如何によって礼遇の持続が行われる。この他にも、前職大統領としての大部分が礼遇を喪失した前職大統領であっても他の法によって外交官パスポートの発給を受けることができ、死後に有故が生じれば、国家葬の形で政府主管の下で葬儀を行うことができる。 任期途中で弾劾の決定により退任した場合。 禁固以上の刑が確定した場合。 刑事処分を回避する目的で外国政府に避難所や保護を要求した場合。 大韓民国の国籍を喪失した場合。 2022年5月15日時点までに同法の適用対象となった大統領職経験者は、存命中の者が李明博・朴槿恵と文在寅の3名、退任後に死を迎えた者が尹潽善・崔圭夏・全斗煥・盧泰愚・金泳三・金大中と盧武鉉の7名、現職のまま死を迎えた者が朴正煕の1名、同法施行前に死去した者が李承晩の1名となっている。 2022年5月15日時点では、存命中の元大統領のうち、法に定められた礼遇を全て受けることができる人物は文在寅の1名のみである。李明博は禁固以上の刑が確定したことで、朴槿恵は任期途中で弾劾の決定により退任したことで、それぞれ警護・警備以外の礼遇を受ける資格を喪失している(詳細は歴代大統領の末路参照)。また、死を迎えた元大統領のうち、法に定められた礼遇を退任から死去までの間に全て受けることができた人物は崔圭夏・金泳三・金大中と盧武鉉の4名であり、李承晩・尹潽善・朴正煕・全斗煥と盧泰愚の5名は諸事情により一部の礼遇のみを受けている。
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