大型ノンステップバス
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「ノンステップバス」の記事における「大型ノンステップバス」の解説
1997年(平成9年)に、三菱ふそうトラック・バスと日産ディーゼル工業(現:UDトラックス)が本格的な量産大型ノンステップバスを開発し、販売を開始した。 三菱は、前年にモデルチェンジした2代目エアロスターをベースとして、縦置きのまま、エンジンとデフを運転席側にオフセットする事により、後部までの超低床エリアを確保している。また、車体後部にドアを設けて前後扉仕様にも対応できた(実際には神姫バスが所有しているくらいである)が、リアのホイールハウス間の床(通路)が非常に狭く、車いすへの対応が困難となるため、実際には前中後の3ドア仕様での後部ドア付きがほとんどである(この仕様も名古屋市営バスや成田空港交通など一部事業者のみの所有)。三菱では当初「ノーステップバス」という名称を使用していた。 日産ディーゼル(日デ)は、従来の富士重工業(富士重)7E系ボディのUAシリーズをベースとして、ドイツのZFから前後アクスル(サスペンション)とトルクコンバータ式ATを輸入し、車体最後部にエンジンを直立横置きに配置することにより、後部までの超低床化を実現している。なお、富士重のバス車体架装撤退に伴い、2003年以降は西日本車体工業 (NSK) が車体架装を行い、この時構造が大幅に変わり、三菱ふそう・2代目エアロスターに近い構造となった。従来の富士重製をFタイプ、西日本車体工業製をNタイプと呼称する。日産ディーゼルは民生デイゼル工業時代にも、ゼネラルモーターズに倣ったUDエンジンを横置き搭載したアングルドライブの経験がある。 1998年にいすゞ自動車と日野自動車の両社も日デ + 富士重に近い、車体最後部に横置きエンジン直立搭載の構造でノンステップバスを開発し、販売を開始した。いすゞは当時のキュービックボディで、日野はブルーリボンボディでのノンステップバスとなった。ZF製ATの採用は共通だが、リアアクスルはいすゞがハンガリーのラーバから輸入したのに対し、日野は国産品を採用した。 2000年にいすゞ・日野の両社共路線バスボディのフルモデルチェンジを行い、キュービックがエルガ (type-B) に、ブルーリボンがブルーリボンシティに変更されたが、車体の構造面での変化は少ない。 2017年にいすゞ・日野は、自家用・トップドアの大型バスとしては初めて、エルガ・ブルーリボンに自家用・トップドアノンステップバスを設定した。 圧縮天然ガス (CNG) バスは車体下部の前後アクスル間に燃料タンク(ボンベ)を搭載していたため超低床化が困難であったが、1999年からCNG自動車の燃料タンクに関する保安基準が改正され、屋根上に燃料タンクを搭載する事が可能となったことから超低床化が進み、各社ともCNGノンステップバスの販売を開始した。 なお、CNGエンジンはディーゼルサイクルとは異なり、ガソリンエンジン同様のオットーサイクルであり、エンジン音もガソリンエンジンとほぼ変わらない。 その後、1999年 - 2000年に日産ディーゼル、いすゞの両社からワンステップバスをベースとした前中扉間のみが超低床のノンステップバスが登場している(後述)。これらと区別するため従来のノンステップバスは「フルフラットノンステップ」(「フルノン」と略す場合もある)と呼ばれることがある。 三菱ふそう・エアロスター(2代目)(関東鉄道) 日産ディーゼル・UA(富士重ボディ。名古屋市交通局) いすゞ・エルガtype-B(CNG。都営バス)
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