報道倫理を維持するための手段
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 02:44 UTC 版)
「報道倫理」の記事における「報道倫理を維持するための手段」の解説
報道倫理の維持のために、報道機関は倫理規定を持つとともに、その倫理を維持し、公衆に対する説明責任を果たすことが求められている。ベルトランは倫理規定を実行に移す主な手段として、訂正欄、休載のおことわり記事、意見公表、有料意見広告、メディアに関する欄や番組、正確さや公正さを問うアンケート、社内批評家、メディア専門記者、読者クラブ、報道機関内外のオンブズマンを挙げている。オンブズマンは中立の立場から、社外の苦情申立を受け付けて報道機関との話し合いの場を設け、訂正、反論などの救済を行う。 第三者機関による審理 社内の倫理機関のほか、第三者機関が倫理違反を審査し、勧告などを行うこともある。イギリス、スウェーデン、ドイツ、フィンランドなど50ヶ国以上で、市民から受けた苦情が倫理基準に違反していないかどうかを、報道機関と一般市民が共同で審査する「報道評議会(プレス・カウンシル)」を報道機関全体が共同で設置している。ヨーロッパの報道評議会では、メディア関係者のほか、一般市民、法曹経験者が加わることもあり、報道による一般市民からの苦情申し立てを審理した上で、訂正や謝罪の掲載、放送を行うように裁定が行われている。 そのほかに、表現の自由を維持しつつ報道倫理を守るための手段として、「内部的自由の保障」「メディア・アクセス権」がある。内部的自由の保障とは、編集方針への参加、編集拒否、報道内容の改編について理由開示請求や、公表する権利といった企業内ジャーナリストの表現の自由や信条の自由を認めることにより、自立した良心を持つ記者による報道を行うべきだという考え方である。内部的自由の保障は、フランスやドイツの報道機関で明示的に認められている。「アクセス権」とは、メディアの受け手が自らの主張をメディアで公表する権利であり、メディアによって批判された者が同じメディアを使って反論する「反論権」も含まれる。アクセス権は、表現手段を持たない人に反論の場を与えるほか、社会の多様な意見を登場させる効果があり、表現の自由にかなった紛争解決の手段と言えるほか、手続に時間がかかる法的救済より、手間も費用、時間もかからないとされる。
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