報道内容に対する期待権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:48 UTC 版)
2001年(平成13年)にNHKが放送したドキュメンタリー番組に関して、取材にあたった孫請け会社が約束した内容に反して一部取材内容をカットして番組を作成したことにより、取材元である市民団体(『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク(バウネットジャパン)) の期待権を侵害したと認めた事例が存在する(旧日本軍の「従軍慰安婦」問題を特集したNHK番組改変問題)。 もっとも、2008年(平成20年)6月12日の最高裁判決は、放送事業者等から放送番組のための取材を受けた者が、取材担当者の言動等によって当該取材で得られた素材が一定の内容、方法により放送に使用されるものと期待し、信頼したが、放送された番組の内容が取材担当者の説明と異なるものとなった場合は原則としてその期待は法律上保護されるものではないとして否定した。例外的に期待権が認められる場合として、取材対象者に取材に応じることにより格別の負担が生じ、そのことを取材担当者が認識した上で必ず一定の内容、方法により放送することを説明し、その説明が客観的にみても取材対象者が取材に応じる意思を形成する原因となった場合にのみ認められ、その場合でも当初の説明と異なる場合がやむを得ない事情の場合は不法行為責任は認められないとするなど、限定的にしか認められないこととなっている。
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