報道写真の編集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 05:56 UTC 版)
1982年に『ナショナルジオグラフィック』誌の表紙写真の編集が論争となった。編集者は表紙に収まるように2つのエジプトのピラミッドの距離を縮めてしまったのである。この件で報道における写真編集の妥当性が議論されるようになった。反対派は、その雑誌が現実には存在しないものをあたかも存在しているかのように描写していると主張した。その後も同様の問題はいくつか発生している。例えば、アメリカの女性雑誌『Redbook』表紙にシェールの写真が使われたとき、彼女の笑顔とドレスが修正されていた。 また、2005年にマーサ・スチュワートが釈放されたとき『ニューズウィーク』誌の表紙を飾ったが、それには彼女の顔をスリムな女性の体に繋ぎ合わせた写真を使って、刑務所で減量したことを示そうとした。 写真編集に関する他の論争として、人種差別も絡んだ問題が1994年夏に発生した。O・J・シンプソンが申し立てにより彼の妻と彼女の友人を殺した容疑(O・J・シンプソン事件)で逮捕されると、複数の出版物が彼の顔写真を掲載した。このとき『タイム』誌が写真に修正を加えて顔色がより黒く見えるようにして、囚人ID番号を小さくした。この雑誌は修正されていない同じ写真を使った『ニューズウィーク』誌と並んで売られたため、その違いが際立つ結果となった。 2006年のレバノン侵攻の際に、アドナン・ハジという記者が行った写真改竄の例がある。彼は写真を改竄して爆煙を本物より大きくしたり、閃光を複写してミサイルの数を増やしたりした。 画像の改竄は日常茶飯事となりつつあり、そのために一般大衆は常に提示された写真が本物かどうかを疑うようになってきた。デジタル写真が主流となった現代では、雑誌などのマスメディアにおいてAdobe Photoshopを使った写真編集は普通に行われており、現実と虚構を区別することは難しくなりつつある。
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