土地・建物の競売
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 14:49 UTC 版)
「大沼 (百貨店)」の記事における「土地・建物の競売」の解説
大沼の土地・建物については根抵当権を持つ山形銀行が、山形地方裁判所から不動産競売開始決定を受けたと2020年3月25日に発表した。山形市中心街の中核となる不動産物件であるため、透明性が高い手続きで活用する事業者を探すため、競売による処理を選んでその過程を公表した。土地・建物を所有する実業家(前述のエム・エル・シーを含む企業グループの経営者)は、山形本店の一部を使って営業再開を打診していたが、山形銀行は応じなかったと報道されている。 2020年5月28日、商業コンサルタント会社「やまき」(東京都港区)が大沼山形本店の土地・建物を所有する実業家に対して百貨店事業の再開を前提とした売買交渉を行っていることが報じられた。7月にはやまきが実業家から建物を一時的に賃借し、大沼の元従業員を雇った上で「感謝閉店セール」を開催することを発表。7月15日にセールが始まり、約半年閉ざされていた山形本店のシャッターが再び開くこととなった。感謝閉店セールは同年9月30日に終了した。大沼の旧在庫、やまきの仕入れ商品などを安く販売し、7月には来店客数が5千~6千人に達した日もあった。だが、地権者となった山形銀行との百貨店再開に向けた交渉は進んでいなかった他、地下食品売り場の老朽化が著しいことが判明するなど課題も浮き彫りになった。 根抵当権を持つ山形銀行は2020年10月9日、山形地方裁判所から旧山形本店並びに旧ギフトショップ新庄店の不動産競売開始期日を、同年11月24日に開始する通知を受けたことを明らかにした。旧山形本店並びに旧ギフトショップ新庄店の競売は個別に行われた。入札は11月24日から12月1日まで行われ、旧山形本店は土地・建物を所有する実業家、大沼の保険事業を分社化した大沼保険サービス、山形市都市振興公社、仙台市の企業の4社が入札したが、やまきは取得費用が嵩むなどとして入札しなかった。12月3日に行われた開札の結果、旧山形本店は、山形市都市振興公社が土地・建物を所有する実業家の入札価格である3億6033万3000円、大沼保険サービスの入札価格である3億6003万3300円を上回る3億8200万円で落札した他、旧ギフトショップ新庄店は1601万1000円で単独入札となったエム・エル・シーが落札した。山形地方裁判所は12月18日、旧山形本店並びに旧ギフトショップ新庄店の売却を決定した。12月26日に売却が正式に確定し、旧山形本店の所有権は山形市都市振興公社へ、旧ギフトショップ新庄店の所有権はエム・エル・シーへそれぞれ移ることになった。 旧山形本店を落札した山形市都市振興公社は、山形市とプロジェクトチームを組み、耐震基準を満たしていない旧山形本店を解体した上で跡地にマンションや商業施設など複数の機能を持つビルの建設する事を検討する他、隣接する山形市立病院済生館の建て替えなどの再開発を視野に入れるとしている。佐藤孝弘山形市長は開札当日に、阿部謙一山形市都市振興公社理事長とともに記者会見を行い、佐藤市長は「公共的な団体が取得する事が最善策と考えた。大沼における混乱に終止符を打ち、中心市街地活性化の新たな可能性が生まれた」とコメントした他、阿部理事長も「魅力的なまちづくりを見据えながら、市と連携して取り組んでいきたい」とコメントした。 入札に参加しなかったやまきは、「再生を諦めたわけではなく、旧山形本店の近くの物件を探している。今後の旧山形本店における運営方針について山形市都市振興公社に話が聞きたい」とコメントした。 山形市は2021年6月16日に、旧山形本店の内部を報道陣に公開した。陳列棚などの動産は手つかずの状態のままであった他、地下1階には異臭が漂い、7階の天井は剝げ落ち、8階の天井には雨漏りの跡があったという。電気は前所有者が2021年5月に止めており、電気設備の修繕には約1億円の費用が必要であることが説明された他、全館改修を行う場合は約8億円以上、1~2階のみの改修を行う場合は約4~5億円の費用が必要であることが説明された。 旧山形本店の山形市都市振興公社への所有権移動後も、引き渡しに関して前所有者との交渉は進展してしなかった。山形市は交渉が進展しない場合、裁判所に対して強制執行の申し立てを行う可能性があることを明らかにしていたが。山形市は、2021年3月に山形地方裁判所へ建物の引き渡しを申し立て、山形地方裁判所は3月19日に、前所有者に対して引き渡し命令を出した。山形市は8月12日に、旧山形本店に残る動産を前所有者が山形市都市振興公社へ寄贈することで合意し、旧山形本店の引き渡しが完了したと発表した。 山形市は2021年7月から12月にかけて、山形市と不動産会社22社が参加して、旧山形本店の活用方法も含めた七日町地区のにぎわい創出拠点整備事業におけるサウンディング型市場調査を実施した。山形市は2022年3月15日、サウンディング型市場調査の結果を発表し、旧山形本店の建物を解体する事で概ね一致した。
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