土地取得問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/13 16:55 UTC 版)
大井川港は民間の砂利販売業者である海運建材株式会社が、自ら所有する大井川河口沿いの土地から砂利を採取し、それによって生じた新たな海面を利用して砂利を船積み出荷するという過程で形成された湾状地形をもとに、約10億円の予算で築港整備され、旧大井川町に寄付されて正式に港湾化したという特異な設立経緯を持っている。そのため、大井川港が存在する海面は元々は陸地であり、同社が所有する私有地であったという事でもある。 海運建材は旧大井川町に寄付を行う際に、元々陸地であった私有地約47000平米分の土地代を立替えるように町側に要請するも、当時の町長が海底面は既に土地ではないので、所有権もないという見解を示したことから、その後45年余りにわたり、公有の港湾でありながら湾内の海底に私有地が残る特異な状況が発生していた。 2008年、旧焼津市と旧大井川町が合併したことで新焼津市長は事態の解決に乗り出し、海運建材から競売で海底面を取得していた業者との裁判所での調停の末に、約2400万円で土地を買い取る事となった。しかし、前述のとおり「海底面は既に土地ではなく、所有権もない」という原則通り、この「用地買収」によって、それまで陸地として登記されていた土地が海底と認定され、正式に所有権も面積の項目も登記簿上から消滅するという事が確定。用地買収の結果、市の面積が減少したという結果に終わる珍事となった。
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