団体と品質認証の基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 02:35 UTC 版)
「バイオダイナミック農法」の記事における「団体と品質認証の基準」の解説
バイオダイナミック農法を実践する生産者団体デメター(1924年設立)は、1946年に品質認証のための自主基準を作った。おそらくこれが、初めて作られた有機農産物の基準であるといわれている。デメターは基準を策定することで、加盟する農民に栽培の指針を示し、外部に対しては信用が落ちるような事態を防ぎ、品質を保証することで権益を守った。バイオダイナミック農法は、生産団体が自ら農法の研究、生産物の品質保守、販売のあっせん(デメターは商取引そのものは行わなかった)までを行うという形で広まっていったと考えられている。バイオダイナミック農法のグループは、デメター以外にも存在する。 1997年に19のグループがデメター・インターナショナル(Demeter International)を結成し、2015年時点でこの組織に登録されている農場数は4950、農地面積は約16万haで、ヨーロッパ、アメリカ、ブラジル、エジプト、ニュージーランド、インド、チリなどに多い。日本には生産者や加工業者はないが、3つの販売業者が登録されている。各国から18の認証団体が参加し世界的ネットワークが作られており、世界約40か国から認証された3500を超える商品が流通している。 デメターは1992年にバイオダイナミック農業の基準を定めており、農業生産、加工、ラベル表示、養蜂の4つの基準がある。農産物の認定には以下の条件を守る必要がある。(これ以外にも細かい条件がある) 有機農業の認証を受ける:EUの「有機農業規則」および「有機農業実施規則」、アメリカの「1990年有機食品生産法」および「全米有機プログラム」(National Organic Program)、オーストラリアの「国定有機農業およびバイオダイナミック生産物規則」のいずれかの認証が必要とされる。 占星術による作業日程調整や調合剤を使用する:シュタイナーの思想に基づき、黄道十二宮を巡る月の周期から播種などの時期を選定する占星術や、地球フォース(力)や宇宙フォースといったフォースを集める調合剤の使用が必須である。 EUの有機農業基準よりも厳しい家畜飼養密度や、肥料としての家畜ふん尿使用量の上限を守る:作物輪作にわたって平均して家畜ふん尿によって供給して良い窒素の最大量は、農場が自ら生産した飼料によって維持する動物によって生産される量を超えてはならず、農場の全面積当たり、最大1.4家畜ふん尿単位/haを超えることができないと規定している。ただし、例外条件がある。 生物多様性のを保護する:農場は生物多様性維持の誓約を提出し、農場と直接隣接地内の生物多様性の保護地が全農場面積の10%に達していない場合には、その達成プランをチェック機関に提出し、承認を受ける。
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