商業的成功と成長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/29 07:32 UTC 版)
「シミュレーションズ・パブリケイションズ」の記事における「商業的成功と成長」の解説
1973年、SPIはそれまでの「裏打ちされていない紙製のマップと駒、ルールブックを封筒に入れたもの」という出版形式から脱却し、アートディレクターであるレドモンド・A・サイモンセンの指導の元で、より高級なパッケージでの出版を始めた。SPIは、ゲームの駒を小分けして収納できるトレイを挟み込んだプラスチックボックスを導入し、デザインの統一性を図り、パッケージの再利用と大量生産を可能とした。このパッケージはSPIゲームの特徴となった。 SPIは、S&T誌による独特なフィードバックシステムを用いることで、より市場に即したゲームデザインが可能であった。これにより、アバロンヒル社が年間に多くて2作品しか出版しなかったのに対し、最盛期には年40作もの作品を市場に送り込むことができた。 またSPIは、中小規模のゲームに飽き足らず、ユーザーの求めに応じ、より巨大なゲームを出版し始めた。1974年に発売された”War in the East”はその嚆矢であり、フルサイズのマップ4枚に1駒1師団単位で1000個以上の駒を使い、独ソ戦の全体の再現を試みるものであった。それ以外にも、『第二次欧州大戦』(en:War in europe)、『大西洋の壁』(Atrantic Wall)、『現代ヨーロッパの攻防』(en:The Next War)など、それらはおのおの、巨大なマップ数枚をつなぎ合わせ、数千個の駒と複数冊のルールブックを含んでおり、プレイには数日を要するものであった。特に1978年に出版された”The Campaign for North Africa”は、第二次世界大戦の北アフリカでの戦いを網羅し、戦闘機やパイロットは1機1人単位で個別の駒を持ち、補給物資は詳細に分かれそれを個々にトラックによって前線に運搬せねばならず、10人のプレイヤーの参加が推奨され、キャンペーンシナリオのプレイ時間は1500時間を超えるなど、現実にプレイする事は不可能な代物であった。 その一方で、SPIはフォリオゲームと呼ばれる一連の小さなゲームを出版した。それらは多くの場合、4つのグループで構成され、個別に「クアドリゲーム」としても販売された。4つのゲームは、それらに共通のルールと個別の専用ルールに分かれており、プレイアビリティを保っていた。 SPIのウォーゲームは、戦略級、作戦級だけでなく、戦術級のものにもおよび、『スナイパー』(en:Sniper!)、『米ソ現代機甲戦』(Firefight)、『空戦マッハの戦い』(en:Air War)は特に人気がありのちにTSRで再販された。 SPIのゲームは、当初は歴史ウォーゲームのみであったが、すぐに仮想戦のゲームにも乗り出した(”World War3”、”Invasion America”など)。その後、『スターフォース』(Star Force)や”War of the Ring”などのSFやファンタジーを題材とした作品にも取り組み、それらをフォローするため、”Ares”という新しい雑誌の出版を開始した:101 。AresにはS&T誌と同様、各号にSF又はファンタジーゲームが添付されていた。それは、70年代後半より始まったテーブルトークRPG(D&Dやトラベラーなど)のブームに便乗するためのものであった。
※この「商業的成功と成長」の解説は、「シミュレーションズ・パブリケイションズ」の解説の一部です。
「商業的成功と成長」を含む「シミュレーションズ・パブリケイションズ」の記事については、「シミュレーションズ・パブリケイションズ」の概要を参照ください。
- 商業的成功と成長のページへのリンク