否定する立場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 05:23 UTC 版)
海兵隊の展開能力を考慮すれば沖縄県内に基地を置く必然性は低い。沖縄に駐留する第3海兵遠征軍(3MEF)のうち、機動部隊である第31海兵遠征隊(31MEU)は、1年のうち約9ヶ月は強襲揚陸艦でアジア太平洋地域に展開しており、沖縄を離れている。また、航空機の航続距離延伸等の技術的革新で、海兵隊が沖縄に常駐する必要が薄れており、2012年に日米合意した米軍再編計画では、地上戦闘兵力の中核である第4歩兵連隊がグアムなどへ移転することが決まっている。肯定する立場のいう「陸上部隊と航空部隊の統合」が重要であるならば、第4歩兵連隊とともに第36海兵航空群も移転させるべきことになる。江畑謙介は著書「米軍再編」で「実際問題として高速輸送艦の実用化により、こと東アジア地域においては、米海兵隊の基地が沖縄にあろうが九州にあろうが、移動に要する時間はそれほど違わないという条件になってきた」と述べている。また、従来よりなされている主張であるが、本土に比べて沖縄県に多数の米軍基地が集中しており、過重負担が不公平であるとの意見も根強い。 マイケル・アマコスト元米駐日大使は「沖縄に駐留する海兵隊が死活的に重要なものだとは私には見えない。決定的役割を沖縄の海兵隊が担っているという納得のいく説明を私は聞いたことがない。普天間という二流の基地の問題が日米の大きな懸念となっていることに当惑を禁じ得ません。もし事故が起きたら日米同盟に壊滅的な影響を及ぼす。辺野古移設は今のスケジュールでも2020年代までかかるわけで、コストと便益を考えると見合わない。さらに沖縄における反対運動は広範で、選挙区から選ばれた国会議員と知事・名護市長の全員が反対している。これは、どの高い政治的コストに比べても海兵隊基地の戦略的価値は、どれほどあるのでしょうか。沖縄の問題は、米国の予算獲得競争につながっています。」とインタビューに応えている。 場合によっては沖縄を完全撤退する可能性まである海兵隊のため、なぜ日本が1兆円を投じて新基地を作る必要があるのかと疑問を呈する声がある。一方で、将来海兵隊が撤退しても自衛隊の基地として使えるとする指摘も存在する。 浦添市長の松本哲治は翁長知事や共産党・社民党・社大党・県民ネットなど辺野古移設反対派への那覇軍港の浦添移設への態度はダブルスタンダードだと主張している。松本は那覇市長候補だった翁長が市長選挙直前の2013年1月12日に那覇軍港返還による浦添への移設反対、浦添市長選挙後に「認める」と変遷した翁長前那覇市長を公約違反と指摘しないことに疑念を呈している。更に松本は辺野古反対派の「辺野古はダメだが浦添は進める」という理由が「論理的には成立しない」と主張している。
※この「否定する立場」の解説は、「普天間基地移設問題」の解説の一部です。
「否定する立場」を含む「普天間基地移設問題」の記事については、「普天間基地移設問題」の概要を参照ください。
- 否定する立場のページへのリンク