否定による定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/20 03:48 UTC 版)
「タンパク質を構成しないアミノ酸」の記事における「否定による定義」の解説
官能基としてアミンとカルボン酸を持つ全ての有機化合物がアミノ酸である。タンパク質を構成するアミノ酸はその中の一部であり、中央の炭素原子(α-または2-)が左旋性でアミノ基、カルボキシル基、側鎖、α-水素原子を持つ。例外は、アキラルであるグリシンと、アミノ基が第二級アミンでありイミノ基を持たないもののしばしばイミノ酸とも呼ばれるプロリンである。 遺伝コードは、翻訳によってタンパク質に取り込まれる20個の標準アミノ酸をコードしている。しかし、タンパク質を構成するアミノ酸としてはさらに2つ、セレノシステインとピロリシンがある。この2つにはコドンは割り当てられていないが、特殊な配列が存在する場合に終止コドンの位置に加えられる。即ち、セレノシステイン挿入配列 (SecIS) があった場合にUGAコドンがセレノシステインに翻訳され、PYLIS配列があった場合にUAGコドンがピロリシンに翻訳される。これら以外の全てのアミノ酸が「タンパク質を構成しないアミノ酸」である。 セレノシステインは、β-炭素にセレノール基を含む。 ピロリシンは、リシンのε-アミノ基にカルボキシル化ピロリン環が付いたものである。 アミノ酸のグループとしては、以下のようなものがある。 20の標準アミノ酸 22のタンパク質を構成するアミノ酸 80以上の高濃度で非生物的に合成されるアミノ酸 900程度の天然経路で合成されるアミノ酸 118以上のタンパク質に組み込まれる人工アミノ酸 これらのグループには重複はあるが、同一のものではない。22のタンパク質を構成するアミノ酸は全て生物等によって生合成されるが、発生源はそれだけではなく、非生物的(生物誕生前の環境や隕石中)にも生じうる。ノルロイシン等のいくつかの天然アミノ酸は、タンパク質合成プロセスがそれほど厳密ではないために、誤ってタンパク質に取り入れられることがある。オルニチン等の多くのアミノ酸は、生合成で生み出される代謝中間体であるが、タンパク質に取り入れられることはない。タンパク質中でのアミノ酸残基の翻訳後修飾により、タンパク質の一部ではあるがタンパク質を構成するアミノ酸ではないアミノ酸が多く形成される。α-メチルノルバリン等の他のアミノ酸は、非生物的な環境でのみ見られる。エンジニアリングされた系において、30以上の非天然アミノ酸が翻訳によってタンパク質に組み込まれるが、これは生合成的ではない。
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