名詞の形態論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 14:30 UTC 版)
シュメール語の名詞は、概して1つまたは2つの音節の語根で構成される(igi「目」、e2「家、家族」、nin「女性」)が、一部3音節で構成される語根も存在する(šakanka「市場」など)。文法性は人間とそれ以外を区別する有生性を持つ。前者は神や彫像なども「人間」性として含めるが動物や植物は含めず、また後者は集合名詞も含める。 形容詞やその他の修飾語は、名詞または被修飾語に後置される。例えば「偉大な王」と言う場合は lugal maḫ(王・偉大な)となる。 屈折はほとんど見られず、名詞や動詞へ接辞を繋ぎ合わせる膠着語的な性質が強い。典型的な接辞や修飾語の順序は名詞 - 形容詞 - 数詞 - 属格句 - 関係節 - 所有接辞 - 複数接辞 - その他の格接辞である。例えば、 dig̃ir gal-gal-g̃u-ne-ra は、神-偉大な(畳語)-私の-複数-与格 であり、全体的な意味は「我の偉大なる神々の全てのために」となる。所有接辞、複数接辞、その他格接辞はかつては接尾辞として扱われてきたが、最近では前接語または後置詞とみなされている。 複数接辞は人間性では -(e)ne であり、非人間性には複数接辞は付かない。しかし、形容詞 ḫi-a「多数の」や複数を表すコピュラ/-meš/、名詞または形容詞の重ね合わせ(kur-kur「全ての異国の地」、a gal-gal「全ての素晴らしき水」、重ね合わせることで「全体」を意味するようになると考えられている)などによる表現も可能である。その他の格接辞には -Ø(絶対格、-e(能格)、-e(位格-終止格、「~の近くに/で」)、-ak(属格)、-gin(様格、「~として」「~のように」)、-r(a)(与格)、-(e)š(e)(向格、「~へ」「~に向かって」)、-da(共格)、-a(処格)、-ta(奪格)がある。これらの格接辞に含まれない場所や時間を示したい場合は属格句を用いる。 格人間非人間属格 -ak 能格 -e 絶対格 -Ø 与格 -ra — 位格-終止格 — -e 処格 -a 処格2 — -ne 向格 -še Adverbiative -eš 奪格 -ta 共格 -da 様格 -gen 人称代名詞はそれぞれ g̃e26-e(1人称単数)、ze2-e(2人称単数)、a-ne または e-ne(三人称人間単数)、a/e-ne-ne(3人称人間複数)であり、所有接辞はそれぞれ -g̃u10(1人称単数)、-zu(2人称単数)、-(a)-n(i)(3人称人間単数)、-b(i)(3人称非人間単数/複数)、-me(1人称複数) -zu-ne-ne(2人称複数)、-(a)-ne-ne(3人称活動体複数)である。これらの接尾辞の多くは、開音節の名詞、即ち母音で終わる名詞に接続する場合、しばしば母音脱落が発生する。
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