台車枠の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/02 01:42 UTC 版)
台車枠の構造としては、古くは形鋼や板材をリベット締結により組み立てる構造、鋳物を使用した構造、プレス成形された鋼材を溶接組立する構造などがある。 菱枠台車台車枠の側面形状を平鋼で組み立てた軸箱つき菱枠形にし、これに枕ばね受けを設けて心ざらつき揺れ枕や輪軸を取り付けたもの。台車枠の形状が菱形なのでこの名がある。日本では主に貨車に使用された。 アーチバー1920年代の貨車と、一部の客車用。枠の主要部材が弓(アーチ)形のもので、軸箱は固定式。日本では国鉄TR20形など。 ベッテンドルフ軸箱固定式の貨車用で、アーチバーの強度と剛性を向上させたもの。初期の形鋼材を組み立てたものと、量産性を高めた一体鋳造のものがある。ベッテンドルフ社の特許公開により、類型が多数存在する。日本では国鉄TR41形など。 アンドリュー(アンドリュース)貨車用。枠の形態は鋳鋼製ベッテンドルフに類似するが、軸箱を別体とし、上下の台枠で軸箱を挟む構造。 ヴァルカン貨車用。アンドリューを簡素化し、軸箱の緊定を1本ボルトにしたもの。 インサイドフレーム(内側梁 / 内側枠式)側梁(側枠)と軸受けが車輪の内側にある構造。レールに直接働く電磁吸着ブレーキなど、いわゆるトラックブレーキ(台車の Truck ではなく、軌道の Track)の装備と、その保守に都合が良い形状。PCCカー、LRT、路面電車に採用例が多い。これとは別に、ゴムタイヤのみを走行輪に用いた台車では、タイヤ幅やトレッド寸法の問題と、頻繁なタイヤ交換に対応すべく、内側梁(枠)式となっている。 板台枠式側枠を薄鋼板の組み立てによって構成するもの。19世紀頃からヨーロッパの鉄道において多用され、第二次世界大戦後も貨車用を中心にヨーロッパメーカーでの製作が続いている。日本では雨宮製作所が花巻電鉄や下野電気鉄道、それに京王電気軌道向けなど電車用として好んで製作し、同社の倒産・消滅後日本鉄道自動車がこれを模倣した台車を各地の私鉄に供給した。また、日立製作所が製造した国鉄ED15形などの初期の本線用電気機関車にも採用されている。この種の台車では、構造上軸箱支持機構として一般にウィングばね方式が使用される。 菱枠台車の例(国鉄TR26形) 弓形棒菱枠(アーチバー)台車の例 ベッテンドルフ型台車の例 インサイドフレームの例ばねとリンクのスペースを捻出(国鉄 DT141形・DE10形) インサイドフレームの例前後の車輪の間にトラックブレーキを装備する。(SEPTA・PCCカー) インサイドフレームの例ゴムタイヤ方式のため(札幌市交通局5000系) 板台枠式の例(下野電気鉄道ホデハ101形) 板台枠式の例貨車用台車(ČD 26-2.8形台車)
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