台車式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:42 UTC 版)
車輪を有する鉄製枠の上面に耐火レンガまたは耐火キャスタブル製の床板を張った台車が炉室床の機能を有しており、その台車上に、五徳などを挟んで棺を置き、台ごと火葬炉に入れて焼く方式である。焼却開始直後は棺の下側からもバーナーの炎にさらされるが、棺が燃え尽きた後の遺体下面にはバーナー炎が廻り難いので、骨化するまで時間がかかる。ロストル式が約40分に対し、台車式の場合は約60分を要する。しかしながら、骨はあまり落差のない台車上に落ちるためにばらばらに散乱することがなく、ほぼ人体形状を保ったままきれいに残るという特徴がある。遺体がほぼ骨化した後は台車面にもバーナー炎が到達するので、汚汁や難燃部位の不完全燃焼は生じにくく悪臭が少ない。ロストル式はもともとは、遺骨に対する扱いが全く違う海外から来た方式である。遺骨を残さない海外に対し、日本では釈迦が荼毘に付された時の遺骨を残す燃やし方である当時のインドの習慣から発生しているため遺骨が大切にされる。このため、現在の日本の火葬炉は台車式が主流になりつつある。 遺族参会者が立ち入る炉前ホールと火葬炉本体の間に「前室」を設けるのが最近の傾向であり、前室有りの場合は遺族参会者の目に触れることなく炉内工事や清掃、台車整備、火葬後の台車と焼骨の冷却、残骨灰の処理を行うことが可能であり、炉前ホールに漏れる燃焼音、熱気、臭気を極めて小さくできる。建設費はロストル式と比して高額になる。 火葬場により異なるが、1炉/1日あたりの火葬可能数は2~3体としている施設が多い。これは台車の冷却・清掃に要する時間に余裕をもたせたり、炉前ホールや収骨室で他家の参会者同士が輻輳したりしないように動線時間に余裕をもたせるなど、参会者の安全衛生確保と心情に配慮した運用上の事由に因るもので、技術的には1炉/1日あたり4体以上も可能である。
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