古本の価値・価格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 03:10 UTC 版)
コンディションが良好な方が価格が高いことが一般的だが、それ以外にも、古本の値段や価値を左右する要因は多い。新刊時の出荷部数や重版の回数、電子書籍化を含む復刊や著作権保護期間切れによるデジタル公開の有無、本の内容が流行や実務的な需要(法律などの制度やビジネス知識)に合っているかどうか--などである。装丁が凝っていたり、古風(レトロ)だったりする本や初版、著者の署名入り(特に知人・著名人宛ての場合)、有名人の蔵書印が捺してある場合などは付加価値とみなされ、価格が上乗せされることもある。戦前や戦後すぐの刊行で、有名書籍で保存状態が良好であれば、初版の方が高価なこともある。 同じ中身の本であっても、古本の価格は時期や店により変わる。ある古書店が高く販売している本が、別の店では店頭に置かれたワゴンや書棚で100円、10円といった廉価で販売されていたことは昭和期にもあった(せどりは、こうした価格差を活用したビジネスである)。 また高額な絶版本が文庫化や復刊、新装版や完全版の刊行、電子書籍化などにより、古本価格が一気に安くなることもある。ネット販売普及後、古本の購入を検討する人は価格の検索・比較がしやすくなったため、低価格競争の結果、需要が少ないまたは供給が多い本は値下がりする傾向にある。Amazon.co.jpでは1円で売られている本もある。 一方、かつては読み捨てられていたような本が高騰することもある。昭和中期~後期に刊行された貸本時代の漫画や児童向け読み物、単行本に比べ保管されにくい一部の雑誌などがその例である。遺品整理に古書業者が呼ばれて、希少な蔵書が引き取られて古書として再度販売されることも多いが、古本に関心がない人々により廃棄されてしまうリスクは常に存在する。 第二次世界大戦直前の1940年12月には、古本にも公定価格が導入された。明治38年以前の出版物は定価の5倍までとし、以降、年代順に4区分して価格が決められた。希少価値のある古本でも定価の75%でしか販売できないケースも生じ、売り控えにより流通量が減るなど混乱が生じた。 世界全体における古本の史上最高額については諸説あるが、2013年にアメリカで開かれたオークションで、17世紀の詩編『ベイ・サーム・ブック』が1420万ドル(日本円では約14億4000万円)で落札され、古書競売の世界最高額となったと報道された。またコミックスとしては2011年に『アクションコミックス』が216万ドルで落札された際、「米コミック誌としては過去最高額」 だと報じられた。
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