受動安全構造とは? わかりやすく解説

受動安全構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 20:26 UTC 版)

高経済性単純化沸騰水型原子炉」の記事における「受動安全構造」の解説

ESBWR受動的安全システムは、従来型沸騰水型炉使われているポンプのうちのいくつか不要とすることで設計レベル安全性保全性信頼性を向上させ、同時に原子炉コスト削減図っている。原子炉圧力容器冷却材である軽水自然対流利用して循環させることで循環維持のために必要なシステム減じている。原子炉再循環系統が不要となるため、冷却材再循環ポンプやそれに連なる配管電源供給熱交換器などの補機計装設備制御装置なくなりシステム全体として単純化される。 ESBWR受動安全システムには非常用復水器系(ICS)、重力駆動冷却系(GDCS)、静的格納容器冷却系(PCCS)の三方式のシステム組み合わせられており、これによって原子炉からの熱を圧力容器外部プール効率的に逃がすことができる。これらのシステムは、ポンプ等の機械用いた強制循環に代わって単純な物理法則基づいた自然循環利用しており、外部からの電力供給断たれた状態でも原子炉内部水量維持して十分な冷却継続できるようになっている原子炉冷却材圧力境界無傷場合原子炉内から格納容器外への熱輸送には非常用復水器系(ICS)が利用されるICS閉ループ系であり、圧力容器原子炉建屋上部位置する熱交換器繋いでいる。原子炉から出た蒸気配管通ってプール浸されICS熱交換器へ向かう。蒸気熱交換器凝縮され密度大きくなって重くなった凝縮物、つまり水滴が管壁を滴り落ちて原子炉流れ戻ることで冷却環が構成される原子炉冷却材継続的な冷却提供し炉心を保つためにこの流路通して再利用される。 原子炉冷却材圧力境界が完全に維持できず、原子炉内にためられ失われたとき、静的格納容器冷却系(PCCS)と重力駆動冷却系(GDCS)が一斉に働くことで原子炉内の水量維持し崩壊熱原子炉内部から格納容器外部放出する原子炉内の冷却水喪失して圧力容器内部水位規定位置よりも低くなると、原子炉減圧され、重力駆動冷却系(GDCS)が働き始める。これは格納容器内部炉心より高所設けられ巨大なプールであり、圧力容器つながっている。GDCSが動き始めると、重力によって原子炉中に流れ込むプール核燃料を完全に水没させるのに十分な量の供給できるように作られている。崩壊熱沸騰した原子炉内部は、蒸気となって圧力容器内部から格納容器移動する静的格納容器冷却系(PCCS)は原子炉建屋上部設けられ熱交換器からなり原子炉から格納容器通った蒸気PCCS熱交換器送り込まれ凝縮しに戻る。PCCS熱交換器から出た凝集重力駆動冷却系プール流れ込むようになっており、ここから再び圧力容器注水される。このようにして冷却環が構成され冷却維持される非常用復水器系と静的格納容器冷却系熱交換器は、72時間わたって崩壊熱除去し続けるのに十分な水量をもつプール浸されている。このプール格納容器の外にあり、さらに大気との通気もされている。このため低圧水源から仮パイプ接続するだけでプール簡単に補充することができる。 燃料棒長さ従来BWRプラント比べ短くなっている。これはESBWR冷却材循環自然対流利用しており、再循環ポンプのような流体加圧して強制的に循環させる仕組み持たないためである。圧力容器内のは、運転中には沸騰して蒸気泡と熱水の二相流になりながら燃料棒の間を流れる。この際燃料棒水流妨げとなり圧力損失もたらすが、燃料棒短くすれば損失低減し効率よく冷却することができる。これは冷却自然循環に頼るESBWRでは重要である。炉心には1,132本の燃料集合体があり、その熱出力標準的なSBWRで4,500MWである。発電出力および送電出力定格値でそれぞれ1,594MWeおよび1,535MWeであり、プラント全体カルノー効率最大35%である。 ESBWRは、事故の際に運転員の操作外部電源がなくても72時間渡って冷温停止維持できる。さらに、格納容器の下には、過酷事故においても炉心冷却するための配管構造設けられており、溶融炉心を上下から冷却できるように作られている。NRC最終安全評価承認されたGEHの確率論的リスク解析では、炉心損傷事故は5900万年1度頻度以上に起こらないとしている。

※この「受動安全構造」の解説は、「高経済性単純化沸騰水型原子炉」の解説の一部です。
「受動安全構造」を含む「高経済性単純化沸騰水型原子炉」の記事については、「高経済性単純化沸騰水型原子炉」の概要を参照ください。

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