収蔵物とその制作背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 09:40 UTC 版)
「メアリー王妃のドールハウス」の記事における「収蔵物とその制作背景」の解説
ドールハウスは1/12スケール(英語版)で作られ、3フィート (91 cm)を優に超える大きさの建物に、当時名声を博していた人物の作品がいくつも収められた。建物の内部や収蔵物の細かい装飾は注目に値するもので、ほとんどがウィンザー城にある物品の、精巧な1/12スケール・レプリカである。装飾品には、協力者自ら制作したものと、ノーサンプトンのトウィニング・モデルズ(英語版)などの、プロの模型製作者が作ったものとがある。カーペットやカーテン、家具は全て本物を元に作られたもので、灯りは実際に点灯させることができる。トイレにはきちんとした配管がなされ、実際に水を流せるほか、ミニチュアのトイレットペーパーも備えられている。 加えて、当時の170名の英国作家がドールハウスの図書室に収めるために寄稿し、それらの作品はサンゴルスキ&サトクリフ(英語版)によって豆本に製本された。アーサー・コナン・ドイルは短編『ワトスンの推理法修業』(英: "How Watson Learned the Trick")を寄稿し、幽霊物語を書いていたM・R・ジェイムズは "The Haunted Dolls' House"(意味:幽霊のよく出るドールハウス)、A・A・ミルンは "Vespers"(意味:夕べの祈り)と銘打たれた作品を贈っている。他にも、J・M・バリー、トーマス・ハーディ、ラドヤード・キップリング、サマセット・モームなどが寄稿している。図書室に収められた作品は、1924年にE・V・ルーカスによって編纂され、『王妃のドールハウスの図書室の本』(英: "The Book of the Queen's Dolls")として出版されている。一方で、ジョージ・バーナード・ショーは掌編を寄せてほしいという王女の依頼を拒んでいるほか、作曲家のエドワード・エルガーも計画への参与を拒否している。シーグフリード・サッソン(英語版)(英: Siegfried Sassoon)は、1922年6月6日にエルガーがレディ・モード・ウォレンダー(英: Lady Maud Warrender)に語ったこととして、以下を記録している。 「私たちみんなが、王[ジョージ5世]も王妃[メアリー王妃]も、芸術的なものは何一つ理解できないことを知っている。ウィンザー[城]の図書館に、私の第2交響曲のスコアを収めた時だって、それに一言も触れやしなかった。それなのに、今は私の絶頂期だと言って、王妃のドールハウスに協力するよう求められた!私はもう充分なくらい『棒の上の猿』として奉仕をしてきたはずだ。私はこの棒を降りる決意をした。手紙を書いて、この依頼をこれ以上私に無理強いしないよう望むと書いておいた。私は、相手を混乱させる馬鹿げた出来事に芸術家を巻き込むのは、芸術家に対する侮辱だと思っている」。 エリ・マースデン・ウィルソン(英語版)などの画家たちも、同様にミニチュアの絵画を提供した。ワインセラーの瓶にも本物のワインやスピリッツが詰められ、自動車の車輪にも正しくスポークが取り付けられている。メアリー王妃の出費はドロシー・ロジャーズなどの一流の家具模型師に関心を向けることに繋がった。高画質の写真でインテリアを見ても、それが実際にミニチュア家具のコレクションだとは判別しがたい。 ドールハウスには、建物本体の下側にある大きな引き出しを引き出した時にしか見えない、隠された庭がある。園芸家、ガートルード・ジーキルの設計によるこの庭にはレプリカの木々や庭仕事道具があり、英国の伝統的な造園様式を現わしている。
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