ワトスンの推理法修業
(How Watson Learned the Trick から転送)
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ワトスンの推理法修業 | |
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著者 | コナン・ドイル |
発表年 | 1920年 |
発生年 | 不明 |
事件 | ホームズの行動をワトスンが推理 |
ワトスンの推理法修業(ワトスンのすいりほうしゅぎょう、原題:How Watson Learned the Trick)は、アーサー・コナン・ドイルが、1920年に書いた[1]掌編小説。元々はイギリス国王ジョージ5世の王妃メアリーに捧げる目的で書かれた。1924年に、E・V・ルーカスが編集し1500部のみ刷られた[要出典]『王妃の人形の家の書斎の本』に収録された。ワトスンがホームズの行動を推理する筋書きの、ドイル本人によるセルフパロディ作品で、シャーロック・ホームズシリーズの外典とされる。
あらすじ
朝食の席で、ワトスンはホームズをずっと「観察」している。ワトスンは「ホームズの推理なんて上っ面だけの技術で簡単に会得できる」と息巻き、彼の行動について推理を始める。ホームズが髭を剃り忘れたのは考え事があったから。バーロウという名の依頼人を抱えていて手紙を受け取った。新聞の金融欄を眺めていたのは投機に入れあげているから。朝食時にドレッシング・ガウンではなく上着を着ているのは大事な客がやってくるから・・・・・・
ワトスンの推理を聞いたホームズは、1つ1つ種明かしをしていく。剃刀を研ぎに出しており髭が剃れなかった。朝早い歯医者の予約を取ったため上着を着込んでいて、歯医者のバーロウからその確認の手紙を受け取った。金融欄の隣にはクリケットの記事があって、ホームズの関心はそちらだった。この種明かしでワトスンの推理が全く的外れだったと分かり、ホームズは「君もいつか推理力を身につけられるだろう」と親友をなだめるのだった。
背景・位置づけ
1920年、当時の英国王ジョージ5世王妃メアリー・オブ・テックへ、英国国民からドールハウスを贈る計画が持ち上がった[2][3][注 1]。ドイルは、この『メアリー王妃のドールハウス』の書斎に収めるために、作品を書き上げたのである。作品はその後、いわゆる豆本の形式でドールハウスに収められた[3]。
作品の執筆は『最後の挨拶』(1917年)と『マザリンの宝石』(1921年)の間にあたる。
その後、1924年に、E・V・ルーカス編『王妃の人形の家の書斎の本』に収録されている[4]。
この作品ではワトスンが多分に茶化されていることから、翔泳社・創元推理文庫両版で翻訳を担当した北原尚彦は、「やはりドイルはホームズ物を書くのはあまり好きではなかったようだ」とコメントしている[1]。
あまりにも短い話であるために、なかなか決定的な日本語訳が出版されずにいたが、1999年に翔泳社から発売された『ドイル傑作選』、2004年に創元推理文庫から刊行された『まだらの紐 ドイル傑作集 1』に収録され、現在では比較的容易に入手が可能となった。
書誌情報
- 訳本
- アーサー・コナン・ドイル「ワトスンの推理法修業」、『小説新潮 ミステリー大全集 昭和の名作名探偵』7月臨時増刊1990、新潮社、1990年7月、 全国書誌番号:922000481、NCID BA62875122。[5]
- 訳題『ワトスンの推理法修業』、訳者:深町眞理子
- アーサー・コナン・ドイル 『ドイル傑作選Ⅰミステリー篇』 北原尚彦・西崎憲(編)、翔泳社、1999年12月5日。全国書誌番号:20020619。ISBN 9784881357385。NCID BA4540366X。OCLC 675697763。[6]
- 訳題『ワトスンの推理法修業』、訳者:北原尚彦
- アーサー・コナン・ドイル 『まだらの紐』 北原尚彦・西崎憲(編)、北原尚彦・霜島義明訳、東京創元社〈ドイル傑作集 1〉、2004年7月23日。全国書誌番号:20644195。ISBN 4-488-10110-0。NCID BA81974019。OCLC 674684106。[7]
- アーサー・コナン・ドイル「ワトスンの推理法修業」、『小説新潮』2014年5月号、新潮社、2014年4月22日、 JAN 4910047010541、ASIN B00JDPMG3M。[9][10]
- 訳題『ワトスンの推理法修業』、訳者:日暮雅通
脚注
注釈
出典
- ^ a b c アーサー・コナン・ドイル (2004, p. 343)
- ^ 北原尚彦の2014年10月5日のツイート
- ^ a b Tomo (2015年3月11日). “【ホームズ】豆本「ワトソンの推理法修行」の復刻版を入手。”. 2016年4月13日閲覧。
- ^ アーサー・コナン・ドイル (2004, pp. 343,347)
- ^ レトロポリス (2007年5月22日). “ミステリー大全集・昭和の名作名探偵('90 新潮社)”. Yahoo!ブログ. 2016年4月13日閲覧。
- ^ “まだらの紐 - アーサー・コナン・ドイル/北原尚彦/西崎憲 編”. 翔泳社. 2016年4月9日閲覧。
- ^ “まだらの紐 - アーサー・コナン・ドイル/北原尚彦/西崎憲 編”. 東京創元社. 2016年4月9日閲覧。
- ^ アーサー・コナン・ドイル (2004, p. 348)
- ^ “バックナンバー - 小説新潮 - 2014年5月号”. 新潮社. 2016年4月11日閲覧。
- ^ “小説新潮 2014年5月号 雑誌”. オンライン書店e-hon. 2016年4月11日閲覧。
参考文献
- アーサー・コナン・ドイル 『まだらの紐』 北原尚彦・西崎憲(編)、北原尚彦・霜島義明訳、東京創元社〈ドイル傑作集 1〉、2004年7月23日、初版。全国書誌番号:20644195。ISBN 4-488-10110-0。NCID BA81974019。OCLC 674684106。
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「How Watson Learned the Trick」の例文・使い方・用例・文例
- バンクーバー― マレーシアに拠点を置くBaronホテルグループはHoward Hotels Internationalを買収する交渉を行っている。
- Baronが企業買収に成功すれば、同社は、名声を確立したHoward Hotelsブランドやその豪華なおもてなしのノウハウを手に入れることになる。
- Howard Hotelsは、著名なカナダの非上場高級ホテルチェーンで、今のところ、世界展開を手助けしてくれる提携企業を見つけられずにいる。
- 買収がうまくいけば、BaronはHoward Hotelsの株式の65%を所有することになる。
- 初めまして, よろしく 《初対面のあいさつ》 では How do you do? のほうが一般的》.
- まあまあというところだ 《How are you? の答えに用いる》.
- botherの単純過去系と過去分詞系
- 先行詞がthis,that,these,thoseの場合はwhichを用いるのが普通です。
- ウェストミンスター寺院 《the Abbey ともいう》.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 an admiral of the fleet 海軍元帥.
- ビザンチン教会, 東方正教会 《the Orthodox (Eastern) Church の別称》.
- 【文法】 相関接続詞 《both…and; either…or など》.
- 【文法】 相関語 《either と or, the former と the latter など》.
- 名詞相当語句 《たとえば The rich are not always happier than the poor. における the rich, the poor など》.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the corn exchange 穀物取引所.
- (英国の)運輸省. the Ministry of Education(, Science and Culture) (日本の)文部省.
- 前置詞付きの句, 前置詞句 《in the room, with us など》.
- 相互代名詞 《each other, one another》.
- 世界の屋根 《本来はパミール高原 (the Pamirs); のちにチベット (Tibet) やヒマラヤ山脈 (the Himalayas) もさすようになった》.
- 王立植物園 《the Kew Gardens のこと》.
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